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NBAの「ORB%」からオフェンスリバウンドの本質を紐解く



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バスケの世界には様々な格言が存在しています。

例えば「リバウンドを制する者は試合を制す」なんて言葉が有名ですね。


今回注目したいのは、そんなリバウンドに関する”ORB%”というスタッツ。


FG%などのシュート確率なら聞き馴染みがありますが、リバウンドの確率って一体どんなものなんでしょうか。

「オフェンスリバウンドのパーセンテージ」と言われてもいまいちピンときません。


というわけで今回はそんなORB%について紹介したいと思います。





「用語で解るNBA」とは

このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。

「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。

<用語で解るNBA

❌ とりあえず用語の意味を知る
⭕️ 用語を通してNBAを理解する

この記事では”ORB%”という用語を詳細にではなくざっくり解説します。

その中でもテーマ図解を交えることで納得してNBAを理解できるようになっています。



押さえておきたいポイント

”ORB%”を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。

  1. ORB%って?
  2. どうやって計算するの?
  3. ORB%はなぜ重要?
  4. ORBの数だけじゃダメなの?
  5. 今シーズンORB%が高い選手は誰?


ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、”ORB%”について説明していきます。



ORB%

まずはORB%の概要をざっくりと紹介します。

「オフェンスリバウンド」「ORB%とは」「計算方法」というポイントに注目して見ていきましょう。


オフェンスリバウンド

そもそもオフェンスリバウンドとは、その名の通りオフェンス側が確保したリバウンドのことを指します。

本題であるORB%を理解するためにも、「オフェンスリバウンドが発生する状況」について改めて確認しておきましょう。


f:id:jasonKIDO:20200718111901j:plain


図のようにシュートが外れ、そのボールをオフェンス側が確保したときにオフェンスリバウンドは成立します。*1

何を今更って感じでしょうか。


ただこういった「オフェンスリバウンドになり得る状況」について確認しておくことが、後々ORB%の重要性を理解することに繋がっていきます。

まずはこの図を何となく頭に入れて、本題であるORB%について見ていきましょう。



ORB%とは

ORB%(Offensive Rebound Percentage)はチームや選手を評価する際に用いられる指標の一つ。

ディーン・オリーバー氏が名著『Basketball on paper』で提唱したFour Factors(オフェンスの効率を評価するにあたって重要な4つのスタッツ)の一つです。


良いチームはこの”Four Factors”が優れているので、分析するならとりあえずコレを見ておけというくらい大事な要素とされています。


ではそんな重要なスタッツであるORB%とは一体どんなものなのでしょうか?


試しに”ORB%”を検索するとこのような説明が出てきます。

Offensive rebound percentage is an estimate of the percentage of available offensive rebounds a player grabbed while he was on the floor.

https://www.basketball-reference.com/about/glossary.html




Google翻訳によると「プレーヤーがフロアにいる間に獲得する利用可能なオフェンスリバウンドの割合の推定値」だそうです。

何となく言いたいことは分かりますが、これだけだとイマイチ納得できませんね。


なので具体的な例からこのスタッツを紐解いてみましょう。

  • 今シーズン、ジョエル・エンビードORB%は10.1%だった


この文章を噛み砕いて説明すると...

  • 今シーズン、ジョエル・エンビードは、出場しているとき、自チームがミスしたシュートのうち10.1%をオフェンスリバウンドにした


といった解釈になります。

ORB%というスタッツが何となく見えてきましたね。


スタッツを捉える為に重要なポイントは3つ

  • 出場しているとき
  • 自チームがミスしたシュートのうち
  • XX%をオフェンスリバウンドにした


「自チームがミスしたシュート」を言い換えると「実際取れたかどうかは別にして獲得可能だったオフェンスリバウンドの数」と言えますね。

先ほどの図ではこの部分。


f:id:jasonKIDO:20200718111905j:plain


ORB%はそんな「獲得可能なリバウンド」に対して実際は「何本のオフェンスリバウンドが取れるのか」という割合を示しているんです。


つまりORB%は「出場しているとき、獲得可能なリバウンドのうちどれくらいをオフェンスリバウンドにできるか」で選手のリバウンド能力を測るというテーマを持ったスタッツなんですね。

このテーマを頭に入れて、次はスタッツの計算方法からORB%を見ていきましょう。



計算方法

スタッツの計算を自力でする機会は中々ないとは思いますが、ORB%をより理解する為にも計算方法を紹介しておきたいと思います。

ORB%は以下の計算式で求めることができます。*2 *3 *4


f:id:jasonKIDO:20200718111911j:plain


見ただけでも考えるのをやめたくなるような計算式ですね。

しかしこの一見複雑に見える計算式も、実は先ほど紹介したスタッツのテーマを理解していれば簡単です。


ORB%は「出場しているとき、獲得可能なリバウンドのうちどれくらいをオフェンスリバウンドにできるか」で選手のリバウンド能力を測るものでした。

「出場しているとき」「獲得可能なリバウンド」「オフェンスリバウンド」が計算式のどの部分に当てはまるのかさえ分かれば、この計算式の意味も自ずと見えてきます。


f:id:jasonKIDO:20200718111919j:plain


(Team ORB + Opp DRB)というのは先ほど図でも見た通り「実際取れたかどうかは別にして獲得可能だったオフェンスリバウンド」のことです。


それぞれの部分が意味する内容を把握することで、この計算式がスタッツのテーマに帰結していることを理解できたと思います。

とりあえずはこの計算式が「出場しているとき、獲得可能なリバウンドのうちどれくらいをオフェンスリバウンドにできるか」というテーマを落とし込んだものだと何となく理解できればOKです。


ちなみにチーム全体のORB%を求める場合には「出場しているとき」という部分を考慮しなくていいので、よりシンプルな計算式で求めることができます。


f:id:jasonKIDO:20200718111925j:plain


こちらも合わせて把握しておきましょう。

  1. ORB%はオフェンスを評価する指標の一つ
  2. 獲得可能なリバウンドに対するORBの割合で評価する
  3. 計算では出場時間も考慮している




ORB%の意義

ここまでORB%の概要や計算方法について紹介してきました。

では次にもう少し踏み込んで、このスタッツの意義を考えてみたいと思います。*5


ORBの重要性

ORB%の意義を理解するにあたって、まずはオフェンスリバウンド自体の重要性を理解しておく必要があります。

私たち日本のバスケットボール好きにとって、オフェンスリバウンドの重要性を最も分かりやすく教えてくれた人といえばやはりスラムダンク安西先生でしょう。


山王戦で桜木花道が教わった通り、オフェンスリバウンドを取るということは相手のディフェンスリバウンドを減らすということ。

つまり相手の攻撃機会を減らし、同時に自分たちの攻撃機会を増やすことに繋がります。


これはあくまで攻撃の回数のみにフォーカスした考え方ではありますが、オフェンスリバウンドが試合の勝敗を分ける大きな要因になっているのは事実です。

なので当然チームとしてはオフェンスリバウンドを取れる選手、オフェンスリバウンドの能力が高い選手を起用したいはず。


その際に必要となってくるのが「オフェンスリバウンドの能力」を把握するという分析ですね。

次はその分析について見ていきます。



シュート確率、本数の影響

オフェンスリバウンドの能力を把握したいと考えたとき、まずはORBの数を見てみようとなります。

例として実際に行われた試合結果(2019.12.7 CLE Cavaliers vs PHI 76ers)を元に、ORB数で選手のオフェンスリバウンド能力を比較してみましょう。*6


f:id:jasonKIDO:20200718111929j:plain


両選手はこの試合で同じ数のORBを獲得しています。

つまりこの表からは、おそらく2人が同じくらいのオフェンスリバウンド能力を持っているんだろうということが読み取れますね。


しかし本当にこれでオフェンスリバウンドの能力を測ったと言えるのでしょうか。

ここに両選手が所属しているチームのシュートに関する数字も合わせて見てみましょう。


f:id:jasonKIDO:20200718111936j:plain


両チームのFG%には大きな差がありますね。

するとそれぞれのチームは同じくらいシュートを放っていても、シュートの失敗数にはかなり差があるということが明らかになりました。


つまりこの2つのチームではそもそも獲得可能なオフェンスリバウンドの数に差があったということです。

選手Bは「獲得可能なリバウンド」の数が少ない中で選手Aと同じ数のORBを獲得していますので、実際のところオフェンスリバウンドの能力では選手Bの方が優れているはずですよね。


このようにORB数での評価は「獲得可能なリバウンド」の差に少なからず影響を受けてしまいます。

なので単にORBの数を比べるだけでは、本質的なオフェンスリバウンド能力を測ったことにはならないんです。



出場時間の影響

各選手が所属するチームのシュート確率や本数に差がある以上、単純なORB数だけでオフェンスリバウンドの能力を評価するのは適切でないようです。

では同じチームに所属している選手同士の場合には、ORBの数だけで比較しても問題ないということでしょうか。


次は同じゴールデンステイトウォーリアーズに所属する2人の選手について見ていきます。*7


f:id:jasonKIDO:20200718111941j:plain


両選手は同じチームに所属し、それぞれ1試合あたりのORBの数も同じです。


同じチームということは「獲得可能なリバウンド」に差が無いはずですので、2人は同じ位のオフェンスリバウンド能力を持っているんだろうと読み取れます。

既にお気付きだとは思いますが、この場合も残念ながらそうとも言い切れないんですね。


ここに両選手の出場時間を合わせてみてみましょう。


f:id:jasonKIDO:20200718111947j:plain


両選手は同じチームで同じ数のORBを獲得していますが、出場時間に大きな差があります。

ということはより短い出場時間で同じ数のORBを獲得している選手Dの方が、より効率よくオフェンスリバウンドを取れる選手だということが分かります。


このようにORBの数は「獲得可能なリバウンド」の差だけでなく、「出場時間」の差にも影響されるということなんです。

そうなってくるとやはり単純なORBの数だけでチームや選手のオフェンスリバウンド能力を測ることは出来そうにありません。


ここで登場するのが今回の主役ORB%ですね。



ORB%での評価

ここまで出てきた問題を解決しつつ、本質的なオフェンスリバウンド能力を測る為に用いられるのがORB%なんですね。

「出場しているとき、獲得可能なリバウンドのうちどれくらいをオフェンスリバウンドにできるか」というテーマを踏まえて各問題を見ていきましょう。


まずシュートの確率や本数によって「獲得可能なリバウンド」に差が生まれるという問題。


ORB%は「獲得可能なリバウンド」に対する「オフェンスリバウンド」の割合を示すものでした。

そもそも「獲得可能なリバウンド」を元に割合を計算している訳ですから、その差もしっかりとスタッツに反映されるんです。


検証する為に先ほど見た試合結果とORB%を合わせて見てみましょう。折角ですので選手名も追加しておきます。


f:id:jasonKIDO:20200718111952j:plain


するとORB数だけでの評価とはかなり違う印象になりました。

実際のオフェンスリバウンド能力では選手Bの方が優れているという本質を、しっかりとスタッツに反映できていますね。*8


では次に「出場時間」の差が影響するという問題。


ORB%のテーマ・計算式には「出場しているとき」というポイントも含まれていましたね。

ということは「出場時間」の差もしっかりとスタッツに反映されるんです。


同じく先ほどのウォーリアーズ2選手のスタッツにORB%と選手名を合わせてみてみましょう。


f:id:jasonKIDO:20200718111957j:plain


やはりこちらもORBの数だけの評価とは違って、出場時間の影響もしっかりと反映されています。


このようにORB%を用いることで、ORB数だけだと見えなかった本質的なオフェンスリバウンド能力まで測ることが可能になるんです。

  1. チームによって「獲得可能なリバウンド」に差がある
  2. 選手によって「出場時間」に差がある
  3. ORB%はそれらを反映した評価が可能




ORB%上位選手と注意点

ここまでORB%というスタッツの意義や有用性を紹介してきました。

最後に「2019-20シーズンのORB%上位選手」や「スタッツの注意点」についても少し触れておきたいと思います。


2019-20 ORB%上位選手

2019-20シーズンのNBAにおけるORB%上位選手を見ながら、このスタッツの傾向について見てみましょう。*9 *10


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当然と言えば当然ですが、インサイドの選手が高いORB%を記録しています。

第2位のドワイト・ハワードのようにORB数が飛び抜けて多い訳ではないベンチスタートの選手でも、ORB%では高順位にランクしている点に注目ですね。



スタッツの注意点

ランキングからも分かるように、ORB%は選手やチームの本質的なオフェンスリバウンド能力を読み取ることが出来る非常に有益なスタッツです。

しかしながら注意すべき点もあります。


それは冒頭の用語説明にもあった通り、ORB%というスタッツがあくまで「推定値」であるということ。

ORB%に限ったことではありませんが、こういったスタッツの多くは計算によって選手やチームの能力を推定しています。


今回のORB%の場合で言うと、「各選手が出場しているときに発生したシュートミスの本数」を実際に数えている訳ではなく、試合全体のリバウンド数と出場時間を元にした計算によって導き出していましたね。


とはいえここまで実際のスタッツでも確認したように、ORB%が非常に的確に選手のオフェンスリバウンド能力を反映していたのは紛れもない事実です。


何が言いたいかというと、どんなに有益なスタッツでも少なからず弱点は存在しているということです。

しかしそういった前提をしっかりと理解しておくことで、より踏み込んだ分析が出来るようになっていきます。


この記事で紹介したスタッツのテーマや強みを理解すると同時に、この注意点も頭の片隅に留めておいてください。

  1. ORBが少なくてもORB%が高い選手に注目
  2. 推定値だということも忘れずに




まとめ

今回はORB%について解説しました。

長くなってしまいましたが理解できましたでしょうか。


スタッツの持つテーマや意義を理解して必要な情報を読み取れるようになれば、NBAをより楽しむことが出来ると思います。

今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。


ではここで今回紹介した内容を改めておさらいしておきましょう。

  1. ORB%はオフェンスを評価する指標の一つ
  2. 獲得可能なリバウンドに対するORBの割合で評価する
  3. 計算では出場時間も考慮している
  4. チームによって「獲得可能なリバウンド」に差がある
  5. 選手によって「出場時間」に差がある
  6. ORB%はそれらを反映した評価が可能
  7. ORBが少なくてもORB%が高い選手に注目
  8. 推定値だということも忘れずに




最後に

「DRB%」や「TRB%」についての解説も投稿しています。





今回解説したORB%に基づいて「NBA史上最強のセンター」などもランキングで紹介していますのでこちらも合わせてご覧ください。





「用語で解るNBAというカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。
「用語で解るNBA」カテゴリーの記事一覧




(参考)
https://www.basketball-reference.com/
https://bleacherreport.com/articles/1039116-understanding-the-nba-explaining-advanced-offensive-stats-and-metrics
https://www.breakthroughbasketball.com/stats/rebounding-stats.html



*1:ディフェンス側がボールに触りアウトオブバウンズになった場合もオフェンスリバウンドとしてカウントされる

*2:ORB=個人のオフェンスリバウンド数、Team ORB=自チームのオフェンスリバウンド数、Opp DRB=相手チームのディフェンスリバウンド数、MP=個人の出場時間、Team MP=自チーム全体の出場時間

*3:https://www.basketball-reference.com/about/glossary.htmlを参照

*4:媒体によっては異なる計算式を用いることもある

*5:ここで紹介するスタッツは2020.6.1時点でのhttps://www.basketball-reference.comより抜粋

*6:ORB=オフェンスリバウンド、FG%=フィールドゴール成功率、FGA=フィールドゴール試投数、成功数=フィールドゴール成功数、失敗数=フィールドゴール失敗数

*7:それぞれ1試合あたりの、ORB=オフェンスリバウンド数、MP=出場時間

*8:出場時間はそれぞれA30.5min、B27.0min

*9:ここで紹介するスタッツは2020.6.1時点でのhttps://www.basketball-reference.comより抜粋

*10:出場試合数等の最低基準に満たない選手は含まない