現代のNBAではポジションという垣根を越えて、オールラウンドな活躍をする選手が増えています。
その典型がゴールデンステートウォーリアーズのドレイモンド・グリーンですね。
グリーンはかつて「5×5」と呼ばれる記録を達成し話題になりました。
あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、それもそのはずNBAの長い歴史の中でもほんの一握りのメンバーしか達成していない珍しい記録なんです。
というわけで今回はこの5×5について、歴代の達成者「5×5 Club」メンバーとともに紹介していきたいと思います。
「用語で解るNBA」とは
このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。
「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。
その中でも要点や考え方を押さえることで納得してNBAを理解できるようになっています。
押さえておきたいポイント
"5×5"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- 5×5って?
- どれくらい難しい記録なの?
- 過去には誰が達成した?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"5×5"について紹介していきます。
5×5
まずは5×5について基本的な概要を紹介しておきます。
「5×5とは何か」「どれくらい難しい記録なのか」というポイントに注目してみていきましょう。
5×5とは
そもそも5×5とは、一つの試合において「5以上」の数字を「5つの部門」で記録したことを意味します。
具体的に言うと、5得点・5アシスト・5リバウンド・5スティール・5ブロックを同時に達成するということですね。
なるほど用語の意味は分かりました。
ですがこの5×5という記録は何故そんなに珍しい記録なんでしょうか。
そのあたりについても考えてみましょう。
どれくらい難しい?
この5×5が難しいのは、1試合という限られた時間の中でオールラウンドな活躍が必要になるからです。
NBA選手にとって2〜3部門で5以上の数字を残すことは容易でも、5部門となると格段にハードルが上がります。
例えば5ブロックを達成できそうな選手をイメージしてみましょう。
2019-20シーズン1試合あたりのブロック数が最も多いのは、ポートランドトレイルブレイザーズのハッサン・ホワイトサイドです。
2019-20シーズンにホワイトサイドがブロックを5本以上あげた試合は計14回あります。
ビッグマンらしくその14試合全てで5リバウンド以上を達成していますが、残念ながら5アシストや5スティールは一度も記録していません。
では逆にアシストやスティールも多く、なおかつNBAを代表するディフェンダーのカワイ・レナードではどうでしょう。
流石レナード、2019-20シーズンもしっかりと5アシストや5スティールを同時に達成しています。
しかしながら、5ブロック以上を記録した試合は1回もありません。
このように、いくらNBAのスーパースターとはいえ5つの部門で満遍なく数字を残すのは至難の技であり、かなり珍しい記録だと言えそうです。
その証拠にNBAの長い歴史の中でも、5×5を達成した選手はたった13人だけしかいません。
次はそんな歴代の5×5達成者を見ていきましょう。
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- 5×5とは5部門で5以上の数字を記録すること
- 5PTS、5AST、5REB、5STL、5BLKを同時に達成
- 歴代で13人が5×5を達成している
歴代の5x5達成者
ではここから歴代の5×5達成者を紹介していきます。
達成した回数や試合のスタッツなども合わせて見ていきましょう。*1 *2
George Gervin
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 1979/04/08:21PTS 6AST 5REB 5STL 5BLK
NBAで初の5×5はアイスマンことジョージ・ガービンによって達成されました。
ガービンといえば主にサンアントニオスパーズで活躍したオールスター12回選出の殿堂入りレジェンドです。
史上初の5×5を記録したこのシーズンは、自身2度目の得点王も獲得しています。
Julius Erving
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 1979/12/05:28PTS 10AST 7REB 5STL 5BLK
ガービンの5×5達成の翌シーズン、Dr.Jことジュリアス・アービングによってNBA史上2度目の5×5が記録されました。
厳密に言うとアービングはこの記録の3年前、ABAに在籍していた時代にも一度5×5を達成しています。
Hakeem Olajuwon
- 5×5をキャリア通算6回達成
- 1987/03/10:38PTS 6AST 17REB 7STL 12BLK
- 1990/03/03:29PTS 9AST 18REB 5STL 11BLK
- 1992/04/11:19PTS 6AST 13REB 5STL 5BLK
- 1993/04/22:33PTS 5AST 13REB 5STL 5BLK
- 1993/11/05:24PTS 6AST 19REB 5STL 5BLK
- 1993/12/30:34PTS 5AST 10REB 5STL 8BLK
史上最高のセンターとの呼び声高いアキーム・オラジュワンは5×5を通算6回達成しています。
これはNBA史上最多の記録で、彼の引退から20年以上たった今も他の追随を許しません。
さらに初の5×5を達成した試合の38得点と12ブロックという数字は、歴代5×5の中で最多の記録です。
David Robinson
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 1992/11/10:29PTS 5AST 9REB 5STL 10BLK
サンアントニオスパーズ一筋のレジェンド、提督ことデビッド・ロビンソンも5×5達成者の一人です。
1992年といえば、ロビンソンも参加していたドリームチームがバルセロナオリンピックで金メダルを獲得した年ですね。
この年ロビンソンはチームトップの23.4得点の活躍でスパーズをプレーオフに導きましたが、チャールズ・バークレー率いるフェニックス・サンズにカンファレンスセミファイナルで破れています。
Derrick Coleman
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 1993/01/15:21PTS 7AST 10REB 5STL 5BLK
ニュージャージーネッツやフィラデルフィア76ersで活躍したデリック・コールマンも一度5×5を達成しています。
コールマンはこのシーズンチームの中心選手として活躍し、キャリアハイの20.7得点、3.6アシスト、1.2スティールを記録しました。
Vlade Divac
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 1995/02/22:19PTS 8AST 12REB 5STL 5BLK
続いての達成者はロサンゼルスレイカーズやサクラメントキングスのセンターとして活躍したブラデ・ディバッツです。
現在はサクラメントキングスのGMとしても有名なディバッツですが、現役時代はアシスト能力にも長けた万能型ビッグマンでした。
この年のディバッツはチームトップの10.4リバウンド、2.2ブロックに加え、チーム第2位の1.4スティール、チーム第3位の16.0得点、4.4アシストとまさにオールラウンドな活躍を見せています。
Jamaal Tinsley
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 2001/11/16:12PTS 15AST 9REB 6STL 5BLK
時代はいよいよ2000年代に突入です。
2000年代初の5×5はインディアナペイサーズ時代のジャマール・ティンズリーによって達成されました。
ティンズリーが記録した15アシストという数字は、歴代の5×5で最多のアシスト数として未だに破られていません。
Andrei Kirilenko
- 5×5をキャリア通算3回達成
- 2003/12/03:19PTS 7AST 5REB 8STL 5BLK
- 2003/12/10:10PTS 6AST 12REB 6STL 5BLK
- 2006/01/03:14PTS 9AST 8REB 6STL 7BLK
AK-47の愛称で親しまれたロシア出身プレーヤーアンドレイ・キリレンコは、5×5をキャリア通算で3回達成しています。
ちなみにNBAで複数回の5×5を達成したのは、オラジュワンとキリレンコの二人だけ。
初の5×5を達成したのはキリレンコが22歳と288日のときで、これは5×5達成者の中でも歴代最年少記録です。
Marcus Camby
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 2004/01/09:8PTS 5AST 11REB 5STL 8BLK
「勉族」のタトゥーでおなじみマーカス・キャンビーもデンバーナゲッツ時代に5x5を達成しています。
キャンビーといえば気迫あふれるプレースタイルと長い腕を生かして4度のブロック王にも輝いた選手です。
この年ルーキーのカーメロ・アンソニーとともに、前年17勝だったチームを9シーズン振りのプレーオフに導きました。
Nicolas Batum
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 2012/12/16:11PTS 10AST 5REB 5STL 5BLK
ここで現役選手のニコラ・バトゥームが登場しました。
現在は大型契約でシャーロットホーネッツに移籍したバトゥームですが、ポートランドトレイルブレイザーズに所属していた2012年に5×5を達成しています。
この試合で記録した5ブロックは彼のキャリアハイの数字ですので、他のスタッツうまく噛み合った結果の5×5と言えますね。
Draymond Green
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 2015/12/11:24PTS 8AST 11REB 5STL 5BLK
冒頭でも紹介したNBAを代表するオールラウンドプレーヤードレイモンド・グリーンも5×5を達成しています。
しかしまだ1回しか達成していないというのは意外な数字です。
実はグリーンの場合、5スティールや5ブロックという難しい部門はクリアしているにも関わらず、得点は4点しかとれていない試合があったりします。
なので複数回達成していてもおかしくない選手でありながら、あと一歩5×5に届いていない試合も多いんですね。
Anthony Davis
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 2018/11/21:12PTS 6AST 16REB 5STL 5BLK
現代NBAでもトップクラスのビッグマンでありながら、アウトサイドでも活躍できる万能プレーヤーのアンソニー・デイビスは2018年に5×5を達成しています。
2018年11月といえば、まだニューオーリンズペリカンズにはっきりトとレード志願をする前の時期ですね。
出場しない時期があったり地元ファンからブーイングされたりもしましたが、12.0リバウンド、3.9アシスト、1,6スティールというキャリアハイの成績を残したシーズンでもありました。
Jusuf Nurkić
- 5×5をキャリア通算1回達成
- 2019/01/01:24PTS 7AST 23REB 5STL 5BLK
この記事を書いている時点では、ポートランドトレイルブレイザーズのユスフ・ヌルキッチが一番最近NBAで5×5を達成した選手です。
大怪我の影響で2019-20シーズンは出場できない時期が長くなりましたが、怪我をする前の2018-19シーズンは素晴らしい成績を残していました。
この試合の23リバウンドという数字は歴代5×5の中でも最多で、20得点20リバウンドの5×5を記録したのはヌルキッチただ一人です。
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まとめ
今回は5×5について紹介しました。
ブロック数、スティール数が計測されたのは1973-74シーズンからですので、それ以前のレジェンド達の記録がないのはご了承ください。
オールラウンドなプレーヤーが増えているNBA、次に5×5を達成するのは誰になるでしょう。
最後に
こちらの記事でもNBAの珍しいスタッツについて紹介していますので、合わせてご覧ください。
「用語で解るNBA」というカテゴリーではNBAの解説も投稿しています。
→「用語で解るNBA」カテゴリーの記事一覧
「まとめ」カテゴリーでは他にもNBAに関してまとめた記事を投稿していますので是非覗いてみてください。
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*1:ここで紹介するスタッツは2020年7月時点のhttps://www.basketball-reference.com/より抜粋