間も無くNBAの2019-20シーズンが開幕します。
大型移籍が相次いだオフシーズンで新チームにも期待が高まっていますし、日本のNBAファンとしては八村塁選手や渡邊雄太選手の活躍にも注目です。
渡邊雄太選手はメンフィス グリズリーズと2way契約を結んでいますので、主にGリーグでの試合が主戦場になってきます。
今回はそんなGリーグについて詳しく解説していきたいと思います。
「用語で解るNBA」とは
このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。
「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。
この記事では"Gリーグ"という用語を詳細にではなくざっくり解説します。
その中でもテーマや図解を交えることで納得してNBAを理解できるようになっています。
押さえておきたいポイント
"Gリーグ"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"Gリーグ"について説明していきます。
Gリーグ
まずはGリーグの基本的なことから確認していきましょう。
ここでは「そもそもGリーグとは」「Gリーグの歴史」「Gリーグに所属しているチーム」に注目して解説していきます。
Gリーグとは
Gリーグ(NBA G League)とはNBA公式のマイナーリーグ(下部リーグ)のこと。
NBAに向けた「選手の育成」や「怪我明け」の調整だけでなく、コーチ・オフィシャル・フロント陣もこのGリーグで経験を積んでいくんです。
レギュラーシーズンは11月から3月まで行われ各チームが50試合を戦います。
さらにその後にはプレーオフも開催され12チームによるトーナメントでGリーグチャンピオンが決まります。
Gリーグの歴史
2001-2002シーズンに"Dリーグ"(NBA Development League)が発足し、当時は6チームが在籍していました。
2017-18シーズンからは"NBA G League"(NBA GATORADE League)という名称に変更。
これはNBAとスポーツドリンクGATORADEとのスポンサー契約の一環で、プロスポーツリーグの名称にスポンサー名が使用されるのはアメリカプロスポーツ史上初のことです。
2019-20シーズンは28チームがGリーグに所属しています。
チーム一覧
Gリーグには28チームが在籍していますが、それぞれGリーグチームは特定のNBAチームと提携をしています。
少し踏み込んだ内容にはなりますがこの提携にも2種類あります。
NBAチームがGリーグチームを運営・経営している「one to one Affiliation」と、NBAチームがGリーグチームの運営をして経営やその他ビジネス面は別で行う「hybrid Affiliation」。
ちなみに現在デンバー ナゲッツとポートランド トレイルブレイザーズは提携するGリーグチームを持っていません。
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NBAとGリーグ
GリーグはNBAのマイナーリーグですので、様々な目的でお互いに選手を行き来させることが可能です。
ここでは「NBAからGリーグに選手を送る場合」と「GリーグからNBAに選手が呼ばれる場合」をそれぞれ観ていきましょう。
NBAからGリーグへ
NBAチームは「提携するGリーグチーム」にのみ選手をアサイン(送致/Assignment)することができます。*1
基本的にNBA在籍3年目までの選手育成や、怪我明け選手の調整が目的です。
GリーグからNBAへ
逆にNBAチームはGリーグチームから選手をコールアップ(召集/Call-Up)することもできます。
アサインの場合とは異なり、「提携するチームだけでなく全てのGリーグチームから」選手をコールアップすることができるというのがポイント。*2
そもそもGリーグの目的が「NBAに向けた選手の育成」ですので、このコールアップは選手がNBAでの実戦経験を積むために大きな役割を果たしているんです。
逆にNBAから見た場合でも、注目している選手を実際の試合で試したり、ケガ人が出た際の補強などにも役立つ場合もあります。
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Gリーグ契約
ここまでGリーグの概要をざっくりと見てきましたが、選手はどんな契約を結んでいるんでしょうか?
ここでは「契約内容」「サラリー」に注目して確認していきます。
契約内容
Gリーグに所属する選手は基本的に"Gリーグ契約"と呼ばれる1年契約を結びます。
それぞれのチームと結ぶのではなくリーグと契約するという形をとっているということも、なんとなく頭に入れておいてください。
サラリー
NBAのように選手がチームと個別の契約を結ぶ場合とは違い、Gリーグ契約では基本的なサラリーが決められています。
2018-19シーズン
$35,000/年 or $7,000/月(レギュラーシーズンの5ヶ月間)
この基本サラリーの他にも、Gリーグ選手は「NBAにコールアップされる」「プレーオフに進出」「MVPなどのアワードを受賞」など場合にボーナスが支給されます。
Gリーグによると「例年25%の選手が平均$44,000のボーナスを受け取っている」とのこと。
ですがNBAのルーキーミニマムサラリーが2018-19シーズンでは$838,464ということを考えるとその差は歴然です。
この「低サラリー問題」というのがGリーグの抱えている課題の一つとされています。
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- 選手はGリーグ契約をリーグと結ぶ
- 契約期間は1年
- 基本サラリーは$35,000/シーズン
Gリーグのチームや選手
Gリーグ選手の契約の内容やサラリーを確認しましたが、そもそもGリーグチームにはどんな選手が所属しているんでしょうか?
「チームのロスター」「ロスター登録選手」に注目して確認していきます。
チームロスター
Gリーグのチームには最低でも10人が所属します。
このロスターは「Gリーグ契約選手10人」「2way契約選手2人」「NBAからアサインされた選手3人」までという基本的な定員枠が設けられているんです。
ロスター登録選手の10パターン
Gリーグ契約のところでも紹介しましたが、選手はチームではなくリーグと1年契約を結んでいました。
ではそれぞれのチームはどうやって毎年のロスターを埋めている(チームを作っている)のでしょうか?
ここではGリーグ選手が「どうしてそのチームに所属することになったのか」という点に注目してロスター登録選手の全10パターンをまとめて紹介します。
⑴ 2way contracts(2way契約)
NBAチームと2way契約を結んだ選手は提携するGリーグチームで活動します。
渡邊雄太選手はメンフィスグリズリーズと2way契約を結んでいますので、Gリーグのメンフィスハッスルが主戦場です。
⑵ NBA Assignee(NBAからアサインされた選手)
先述の通り、NBAチームから提携するGリーグチームに選手をアサインすることができます。
在籍3年目までの選手は基本的に何度でもアサインすることが可能です。*3
⑶ Returning Player
過去2シーズンのうち最後に在籍していたチームがその選手の保有する権利を持っています。
つまり所属選手を放出しない限り、その先のシーズンも優先的にロスターに登録できるということです。
⑷ Affiliate Player
NBAチームのトレーニングキャンプやプレシーズンに参加していたものの、人数調整のためにウェイブされた選手を最大4人まで提携するGリーグチームで受け入れることができます。
【2019.11月追記】
ダラス マーベリックスのトレーニングキャンプ・プレシーズンに参加した馬場雄大選手は、NBAシーズンの開幕前にマーベリックスからウェイブされました。
2019-2020シーズンはマーベリックスと提携するテキサス レジェンズに所属しながらNBAに挑戦するようです。
⑸ Draft Right Player
Gリーグチームは、提携するNBAチームがドラフトで指名した選手を直接チームに加入させることができます。
つまりGリーグでの活動を前提にNBAチームがドラフト指名する場合もあるということです。
⑹ Local Tryout Player
Gリーグチームは毎年オフシーズンに各チームでトライアウトを開催します。
招待選手の他に自費で参加する選手もいて、その中で優秀な選手を最大4名までトレーニングキャンプに参加させることができます。
⑺ G League Draft Picks
Gリーグでは毎年秋にGリーグドラフトが開催され、元NBA選手・NBAでドラフトされなかったルーキー・海外プロリーグ選手などが200人以上指名されます。
ドラフト開催前にGリーグ契約を結んでいる⑴〜⑹以外の選手は、このドラフトで所属チームが決まるということです。
⑻ NBA Draft Eligible Player
NBAドラフトにまだエントリーできない年齢だけどGリーグには所属できる、という選手は「NBAドラフト参加資格」を有したままGリーグ契約を結ぶことが出来ます。*4
他のGリーグ選手と同様に、シーズン開始前に契約を結んだ場合はGリーグドラフトに参加して所属チームを決定するわけです。
⑼ Free Agent
Gリーグドラフトの後にGリーグ契約を結んだ選手はウェイバーの状態となり、クリアするとFAとしてPlayer Poolに登録されます。
(例外) Expansion Draft
リーグに新チームが参入する際にはトレーニングキャンプ前にExpansion Draftが開催され、他のチームから12名のプロテクトされていない選手を指名することができます。
その場合各チームは必ずプロテクトされていない選手を1人は置いておく必要があります。
まとめて紹介しましたので混乱してしまうかもしれませんが、これらのパターンをなんとなく把握しておくことでGリーグ選手とチームの関係を理解できると思います。
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NBAへの道のり
今回の記事で何度も紹介しているようにこのGリーグの目的は「NBAに向けた選手の育成」であり、Gリーグ選手にとってはNBAチームと本契約を結ぶことが大きな目標となっています。
コールアップなどでNBAの試合経験を積んだ選手が、実際のNBA本契約を勝ち取るにはどうしたらいいのでしょうか?
ここでは一つの方法として「ウインターショーケース」を紹介します。
加えて「現在NBAで活躍しているGリーグ経験者」も見ておきましょう。
ウィンターショーケース
Gリーグは毎年"Gリーグ ウインターショーケース"というスカウトイベントを開催します。
一つの都市にGリーグの各チームが集まって試合を行うというイベントで、2018年はラスベガスで開催されました。
NBA全30チームのGMやスカウト陣の一堂に会しますので、選手たちはその目の前でプレーをすることができるわけです。
過去にはクリント・カペラなどがこのウィンターショーケースで見出されました。
NBAで活躍するGリーグ経験者
2018-19シーズン、NBAの開幕ロスターには200人近くのGリーグ経験者が含まれていました。
その中でもGリーグから大きな躍進を遂げた2人のNBA選手を紹介します。
ルディ・ゴベア(Rudy Gobert)
ユタ ジャズ (当時のBakersfield Jamにアサイン)
ゴベア2013年のNBAドラフト1巡目全体27位指名(デンバーから指名後トレード)でユタジャズと契約しました。
その後DリーグのBakersfield Jamにアサインされ、リムプロテクターとしての才能が開花します。
2018年と2019年にはDPOY(最優秀守備選手賞)を受賞し、現在ではユタの大黒柱にまで成長しました。
シアカムは2016年NBAドラフト1巡目全体27位指名でトロントラプターズに指名。
DリーグのRaptors 905にアサインされ、そのシーズンのGリーグ優勝とファイナルMVPを獲得しました。
その後2018-19シーズンにはラプターズのロスターに定着し、NBAファイナル制覇・MIP受賞を果たしています。
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NBA・Gリーグの新しい試み
NBAとGリーグのこれまでの歩み、リーグや選手の関係についてここまで解説してきました。
最後はNBAとGリーグが現在取り組んでいる新たな試みとその背景について見ていきたいと思います。
2way契約
NBAでは2017年から2way契約という新たな契約形態を作りました。
これは「Gリーグの低サラリー」「海外リーグの台頭」という背景による若手選手の海外流出を防ぎ、長期的な選手育成を行うことが目的です。
セレクト契約
Gリーグでは2019-20シーズンから"セレクト契約"(Select contracts)という新たな契約形態をスタートさせます。
これはNBAドラフト参加資格のまだないエリート高卒選手が対象で、高卒後すぐにGリーグに入るとシーズン5ヶ月で$125,000がもらえるという契約。
背景にはいわゆる"one and done"という大半のエリート選手が利用しているシステムがあり、それに対抗するものと言われています。
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まとめ
今回は"Gリーグ"について解説しました。
今後日本人選手も多く参戦するであろうGリーグを知ることで、NBAを一層楽しんでいただけると幸いです。
それではここで改めて今回解説した内容をおさらいしておきましょう。
- GリーグはNBAの公式マイナーリーグ
- かつてはDリーグという名称だった
- 28チームが所属しそれぞれNBAチームと提携している
- NBAチームから提携先のGリーグチームにアサインできる
- 全てのGリーグチームからNBAチームにコールアップできる
- 選手は1年契約のGリーグ契約をリーグと結ぶ
- 基本サラリーは$35,000/シーズン
- 2way契約やセレクト契約などが新たに作られた
最後に
「用語で解るNBA」というカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。