2021年4月、トロントラプターズが渡邊雄太選手とNBA本契約を結んだことは日本でも大きな話題となりました。
渡邊選手が結んだ契約について調べると、その中に「保証」という言葉が出てきます。
NBAの契約には「完全保証」や「部分保証」などもあるようですが、一体何が違うのでしょうか。
ということで今回は、意外と知らないNBA契約の保証について解説していきたいと思います。
「用語で解るNBA」とは
このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。
「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。
その中でもテーマや図解を交えることで納得してNBAを理解できるようになっています。
押さえておきたいポイント
"NBA契約の保証"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- NBAの契約って?
- 契約はどんな内容?
- どんな保証がある?
- 何を保証しているの?
- 実際の契約の保証は?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"NBA契約の保証"について説明していきます。
NBAにおける契約
まずはNBAの契約について見ておきましょう。
ここでは契約の内容や保証についてざっくりと紹介していきます。
契約の内容
NBAにおける契約では、選手とチームが主に以下の4つをのことを定めます。
- 契約期間
- 契約金額
- 昇給率
- ボーナス・諸条件
NBAの契約について調べていてよく目にするのは、この中でも特に契約期間と契約金額です。
報道などで「4年$20Mの契約」のような言葉を目にすることも多いのではないでしょうか。
ただ実際の契約では期間と金額だけではなく、その契約期間中の昇給率やボーナス・諸条件なども定めます。
今回テーマとなっている保証についても、契約の際に定める諸条件の一つです。
次は保証の種類についてざっくり見ておきましょう。
保証とは
NBA契約の保証は大きく3つに分けられます。
- 完全保証
- 無保証
- 部分保証
これらは文字通り保証される範囲がそれぞれ異なります。
完全保証と無保証については何となくイメージ出来ますが、部分保証と言われてもピンときません。
次はこれらの保証について、特徴や違いを詳しく見ていきます。
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NBA契約の保証
では本題である契約の保証について見ていきましょう。
ここでは保証の意味、各保証の特徴などについて解説します。
何を保証する?
そもそも「保証」とは、一体何を保証しているのか。
NBAの契約における保証というのは、一般的に契約金額の保証を指します。
「契約金額」を保証している
なので逆に言うと、契約期間の保証をしているわけではないというのも重要なポイントです。
次は保証の種類についても見ておきましょう。
完全保証
一般的にNBAで言う完全保証とは、文字通り契約で定めたベースサラリーの満額支払いを保証するということ。
例えば「4年$20Mの完全保証契約」というものを考えてみましょう。
完全保証の契約ですので、選手がこの契約を結んだ時点で$20Mの支払いが確約されます。
ただ先ほど紹介した通り、保証とは契約金額を保証するものでした。
つまり4年間という契約期間を保証しているものではないんです。
なので選手によっては4年以内にチームから解雇される場合もあります。
ただ契約金額は完全保証されていますので、契約期間の途中で解雇されたとしても契約金額全額の支払いを受けることが出来るというわけです。
「保証の対象が契約期間でなく契約金額」という点をしっかり押さえておくと、完全保証の意味をしっかりと理解することが出来ます。
無保証・部分保証
無保証・部分保証の場合は、契約金額の支払いが全額保証されているわけではありません。
契約時点でサラリーの一部支払を保証する部分保証もありますが、それ以外の場合はシーズンの消化日数に従って支払金額が変わります。
極端な例ではありますが、「4年$20Mの無保証契約」というものを考えてみましょう。
この契約を結んだ時点では、まだ$20M全額を受け取れると確約されているわけではありません。
仮に契約期間中にチームから解雇された場合、その時点までに消化したシーズンの日数や出場試合数などによって支払われる金額が決まります。
また無保証・部分保証契約の場合でも、ある基準を満たせば契約金額の一部もしくは全額を保証するという条件が付く場合もあります。
契約内容の内訳4つでも登場した「諸条件」というものです。
条件の種類は「ある時期までロスターに残っていたら$◯◯保証」や「出場試合数が一定を超えたら$〇〇保証」など様々。
こういった保証や条件というものが契約で細かく定められているのは、実はこの保証がチーム運営に大きく関わってくるからなんです。
保証とチーム運営
契約に関する保証の有無は、チームの財政に大きな影響をもたらします。
先述の通り完全保証契約の場合は、契約期間中に解雇した選手にも契約金額全額を支払う必要がありました。
つまりざっくりいうと、チームにいない選手のサラリーを支払うことになるというわけです。
ちなみにこの残った契約金額というのは、解雇したチームのサラリーキャップにそのまま計上されます。
そのせいでチームのサラリーキャップが圧迫されてしまい、新たな選手の獲得が困難になることも。
このように保証の有無というものはチームの財政に大きく影響してきますので、契約の際にはよく考慮する必要があるわけです。
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ウェイブやバイアウトに関する保証サラリーについてはそれぞれの記事で詳しく解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。
実際の契約例
実際にNBAで結ばれている契約の保証についても見ておきましょう。
ここでは日本人選手が結んできた契約に注目します。
八村塁
まずは八村塁選手の契約について見てみましょう。

八村選手といえば日本人初のドラフト1巡目指名選手。
ドラフト1巡目指名選手がNBA入団時に結ぶのは、指名順位で契約金額の決まるルーキースケール契約です。
- 契約期間:4年(3・4年目はTO)
- 契約金額:ルーキースケール
- 保証:1・2年目は完全保証
このルーキースケール契約では、1年目・2年目が完全保証、3年目・4年目がチームオプションと定められています。
ちなみにサラリーはドラフト1巡目全体9位指名でしたので、1年目がおよそ$4,469,160、2年目がおよそ$4,692,840。
少なくともこの2年間のサラリーは全額保証されているというわけです。
ドラフト2巡目やドラフト外から入団した選手の多くが無保証契約なので、八村選手の結んだ契約がいかに価値のあるものかがよく分かります。
ルーキースケール契約については別の記事で詳しく解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。
渡邊雄太
続いて渡邊雄太選手の契約も見ておきます。

渡邊選手はNBA入団以来ずっと2way契約を結んできましたが、2021年4月に念願のNBA本契約を勝ち取りました。
- 契約期間:2年(2022年まで)
- 契約金額:$1,762,796(2021-22シーズン)
- 保証:無保証(条件付き)
渡邊選手が結んだのは2年間の契約。
これは無保証の契約ではありますが、条件を満たせば一部サラリーが保証されるようです。
その条件とは、2021-22シーズンのFA契約解禁日から3日後にまだロスターに残っていた場合、$375,000が保証されるというもの。
予定では現地2021年8月6日がFA契約解禁日ですので、8月9日にまだロスターに残っていた場合$375,000が保証されます。
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渡邊選手がこれまで結んできた契約について時系列で詳しくまとめた記事もありますので、是非こちらもご覧ください。