無事に2020-21シーズンのスケジュールが決まりNBAは新たな1年を迎えました。
新たなシーズンが始まるということは、また今年も将来有望なルーキーたちがNBAにやってくるということです。
そんなルーキーたちがNBAでまず最初に結ぶのがルーキー契約と呼ばれるもの。
今回はそのルーキー契約をざっくり解説するとともに、2020年ルーキーたちのサラリーをまとめて紹介したいと思います。
「用語で解るNBA」とは
このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。
「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。
その中でもテーマや図解を交えることで納得してNBAを理解できるようになっています。
押さえておきたいポイント
"ルーキー契約"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- ルーキー契約って何?
- ルーキーはみんな同じ契約?
- 契約期間や保証は?
- サラリーはいくら貰える?
- ルーキー契約はなぜ必要?
- ルーキー契約に続く契約は?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"ルーキー契約"について説明していきます。
ルーキー契約
まずはルーキー契約の概要をざっくりと確認しておきたいと思います。
ここでは「ルーキー契約とは」「NBAのルーキー」というポイントから紐解きます。
ルーキー契約とは
ルーキー契約とは文字通り「NBA1年目のルーキーが結ぶ契約」のことです。
NBAの場合ルーキーは複数年契約を結ぶことが大半ですので、その場合は2年〜4年目の契約を含めてルーキー契約と呼ばれます。
ただ一口にルーキーと言っても各選手の置かれている状況は様々です。
改めてNBAのルーキーについても確認しておきましょう。
ドラフト指名選手の契約
ここではドラフト指名選手の契約について解説します。
1巡目指名と2巡目指名の差、それぞれの契約内容についてを詳しく見ていきましょう。
1巡目と2巡目の差
NBAドラフトには毎年多くの選手がエントリーしますが、実際に指名されるのは1巡目と2巡目それぞれ30名ずつの合計60名のみです。
ただドラフト指名された選手が全員横並びでNBA入りするわけではありません。
ルーキー契約において1巡目なのか2巡目なのかは非常に重要です。
ここで押さえておきたいポイントは、1巡目指名選手と2巡目指名選手の結ぶルーキー契約は内容にもサラリーにも大きな差があるということ。
上の画像はドラフト指名選手が結ぶルーキー契約のイメージです。
ご覧の通り1巡目指名選手の方が長期の契約であると同時に、保証という点でも違いがあるのが分かると思います。
八村塁選手のNBA入りを報道する際にも「ドラフト1巡目指名」ということが強調されていましたね。
では1巡目指名と2巡目指名が結ぶルーキー契約をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
1巡目指名選手
まずは1巡指名指名選手のルーキー契約について見ていきましょう。
競技人口4億人以上とも言われるバスケットボールの世界において、ドラフト1巡目指名というのは1年でたった30名しか選ばれない非常に狭き門です。
そんな熾烈な争いをくぐり抜けたドラフト1巡目指名選手たちは、その分しっかりとした待遇を受けることができます。
- 契約内容:「全額保証の2年」+「チームオプション2年」
- サラリー:順位によって予め定められた「ルーキースケール契約」
まずは契約内容について見ていきましょう。
先ほど見たルーキー契約のイメージにもあった通り、1年目・2年目は全額保証での契約となっています。
全額保証ですので仮にその選手を契約期間途中に放出したとしても、チームはサラリーを全額払う必要があります。
怪我や解雇などが常に隣り合わせのアスリートにとってこれは非常に重要なポイントですね。
そして3年目・4年目の契約はチームオプションの契約、つまり「契約継続するかどうか」をチームが判断します。*1
なので1巡目指名選手のルーキー契約は最長4年という大型契約になるわけですね。
続いては1巡目指名選手のサラリーについて。
1巡目指名選手はドラフト指名順位に応じてサラリーの基準額が設定されています。
その基準額を元に1年目〜3年目は「基準額の80%〜120%」、4年目には「3年目のサラリー+決められた上昇分」とサラリーの幅が予め決められているんです。
こういった契約のことをルーキースケール契約と呼びます。
もちろん順位が高いほど基準額は高額です。
2020-21シーズンの具体的なルーキースケール基準額は以下の通り。(スクロール可能)
順位 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目(3年+α) |
---|---|---|---|---|
1位 | $8,131,200 | $8,537,900 | $8,944,500 | 26.1% |
2位 | $7,275,200 | $7,639,000 | $8,002,800 | 26.2% |
3位 | $6,533,300 | $6,859,800 | $7,186,600 | 26.4% |
4位 | $5,890,300 | $6,185,000 | $6,479,500 | 26.5% |
5位 | $5,334,100 | $5,600,600 | $5,867,400 | 26.7% |
6位 | $4,844,700 | $5,086,900 | $5,329,300 | 26.8% |
7位 | $4,422,600 | $4,643,900 | $4,864,800 | 27.0% |
8位 | $4,051,700 | $4,254,300 | $4,456,900 | 27.2% |
9位 | $3,724,300 | $3,910,700 | $4,096,800 | 27.4% |
10位 | $3,538,100 | $3,715,000 | $3,891,800 | 27.5% |
11位 | $3,361,200 | $3,529,300 | $3,697,500 | 32.7% |
12位 | $3,193,200 | $3,353,000 | $3,512,600 | 37.8% |
13位 | $3,033,500 | $3,185,200 | $3,336,900 | 42.9% |
14位 | $2,882,000 | $3,026,000 | $3,170,300 | 48.1% |
15位 | $2,737,600 | $2,874,500 | $3,011,400 | 53.3% |
16位 | $2,600,900 | $2,730,900 | $2,861,100 | 53.4% |
17位 | $2,470,700 | $2,594,300 | $2,717,900 | 53.6% |
18位 | $2,347,300 | $2,464,600 | $2,582,000 | 53.8% |
19位 | $2,241,600 | $2,353,600 | $2,465,900 | 54.0% |
20位 | $2,151,800 | $2,259,400 | $2,366,800 | 54.2% |
21位 | $2,065,700 | $2,169,100 | $2,272,400 | 59.3% |
22位 | $1,983,200 | $2,082,300 | $2,181,500 | 64.5% |
23位 | $1,904,000 | $1,999,300 | $2,094,200 | 69.7% |
24位 | $1,827,900 | $1,919,200 | $2,010,700 | 74.9% |
25位 | $1,754,600 | $1,842,200 | $1,930,200 | 80.1% |
26位 | $1,696,500 | $1,781,200 | $1,866,000 | 80.3% |
27位 | $1,647,500 | $1,729,900 | $1,812,400 | 80.4% |
28位 | $1,637,300 | $1,694,300 | $1,801,200 | 80.5% |
29位 | $1,625,500 | $1,694,300 | $1,788,100 | 80.5% |
30位 | $1,613,700 | $1,694,300 | $1,775,200 | 80.5% |
1年目の時点で30位が$1.6Mであるのに対して1位は$8.1Mです。
上位指名選手に対するリーグからの期待を感じますね。
ちなみにこれだけ大きい額のルーキースケール契約ですが、ルーキー例外条項が適応されますのでチームのサラリーキャップ状況に関わらず契約が可能となっています。
ルーキー例外条項についての解説はこちらの記事をご覧下さい。
2巡目指名選手
続いて2巡目指名選手のルーキー契約について見ていきましょう。
2巡目指名選手のルーキー契約を理解する前に、まずは「ドラフト指名=契約」ではないということも念頭に置いておく必要があります。
ドラフト指名というのはざっくり言うと「チームがその選手との契約交渉権を得た」ということ。
なので2巡目で指名されたからといって必ずしも契約を結ぶわけではないんです。
まずこのポイントはしっかりと押さえておきましょう。
交渉の末にドラフト指名選手はNBAチームとルーキー契約を結びます。
そんな2巡目指名選手の契約内容は以下の通りです。
- 契約内容:保証なしの1〜2年契約が一般的
- サラリー:ミニマムサラリーの場合が多い
まずは契約内容について。
2巡目指名選手は「保証なしの1〜2年契約」を結ぶ場合が多いです。
保証なしとは、チームが契約期間途中でその選手を放出した場合には残っているサラリーを支払う必要がないということです。
選手側からすると、自分の成績やチーム状況によってはいつ契約が打ち切られるか分からないという不安が残りますね。
続いてサラリーについて。
2巡目指名選手はミニマムサラリー(最低年俸)での契約が多く見られます。
ちなみに2020-21シーズンのNBAにおけるミニマムサラリーは$898,310。
ルーキースケール契約で紹介した30位指名選手の基準額が$1.6Mなのでその差は歴然です。
チーム側からすると2巡目指名で獲得した選手が活躍すれば非常にお買い得な契約と言えますね。
これら契約内容やサラリーを見ると、選手にとっては決して満足のいく契約でない一方、チームからするとリスクの少ない契約であることが分かります。
よく「1巡目下位の指名権」よりも「2巡目上位の指名権」が重宝されるのはこういった側面があるからなんです。
1巡目指名、2巡目指名それぞれのルーキー契約についてしっかり理解しておくことで、NBAドラフトやルーキーの活躍をより踏み込んだ視点から楽しめると思います。
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- 1巡目と2巡目では契約が大きく異なる
- 1巡目は全額保証2年+TO2年
- ルーキースケール契約でサラリーが決まる
- 2巡目指名は保証なしの契約が多い
- 大半はミニマムサラリーでの契約
- チーム側にとってはリスクの少ない契約
- 1巡目下位よりも2巡目上位が重宝される
意義・その後
ここまでルーキー契約の中身について解説していきました。
折角ですのでルーキー契約の意義、その後の契約についても紹介しておきたいと思います。
なぜ必要なのか
このルーキー契約というものの意義は大きく2つ。
- 十分なサラリーを約束する
- サラリーの過度な高騰を防ぐ
毎年NBAには多くの大学スター選手や海外リーグのスター選手が加入します。
その選手がルーキーであっても有望な選手には十分なサラリーを支払うことを約束し、同時に過度なサラリー高騰を防ぐためルーキー契約で基準額を設けているんです。
逆にほとんど試合に出ることない選手でも、契約を結んでいる限りはチームから最低限のサラリーが約束されます。
その後の契約
このルーキー契約期間中に活躍した選手は、その次に結ぶ契約でさらに大きな契約が可能になります。
いわゆるマックス契約と呼ばれる契約です。
マックス契約についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご確認ください。
まとめ
今回はNBAのルーキー契約について解説しました。
ルーキーたちのプレーだけでなく契約に注目するのもNBAの楽しみ方の一つですね。
では改めて今回の解説したポイントをまとめておさらいしましょう。
- ルーキーが結ぶ契約のこと
- 複数年契約の場合も
- ドラフトや指名順位で内容が異なる
- 1巡目と2巡目では契約が大きく異なる
- 1巡目は全額保証2年+TO2年
- ルーキースケール契約でサラリーが決まる
- 2巡目指名は保証なしの契約が多い
- 大半はミニマムサラリーでの契約
- チーム側にとってはリスクの少ない契約
- 1巡目下位よりも2巡目上位が重宝される
最後に
八村塁選手のルーキー契約についてはこちらの記事で紹介しています。
「用語で解るNBA」というカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。
→「用語で解るNBA」カテゴリーの記事一覧
(参考)
https://basketball.realgm.com/nba/info/rookie_scale/2021
*1:チームが「契約継続しない」という判断をした場合その選手はFAになる