このブログでは以前ラリー・バード例外条項やミッドレベル例外条項についての解説を行いました。
例外条項というものを知る上では欠かすことのできない2つですので、よく耳にすることもあるかもしれません。
その例外条項はまだ他にもあります。
今回の記事では意外と忘れがちな4つの例外条項をまとめて紹介しておきたいと思います。
「用語で解るNBA」とは
このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。
「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。
この記事ではそれぞれの例外条項を詳細にではなくざっくり解説します。
その中でもテーマや図解を交えることで納得してNBAを理解できるようになっています。
押さえておきたいポイント
4つの例外条項を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- そもそも"例外条項"って何?
- それぞれどんなテーマ(目的)がある?
- どんな場合に適用できる?
- 契約内容やサラリーはどうなるの?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、4つの例外条項について説明していきます。
例外条項とは
今回解説するのは"例外条項"と呼ばれる制度です。
選手の年俸やチームのサラリーについて調べていると頻繁に登場する用語ですので、ここではまず例外条項についてざっくりと確認しておきましょう。
ソフトキャップ
そもそもNBAには"サラリーキャップ"つまりチームが「各選手に払う給料の総額」は「上限決めます」というルールがあります。
実はそのサラリーキャップにも大きく2つ"ハードキャップ"と"ソフトキャップ" があり、NBAはソフトキャップという種類のものを採用しています。
ソフトキャップとは「上限決めます」ただし場合によって「超えてもOK」というルールのことです。
そしてこの「場合によって」というのが「例外条項に当てはまる場合」のことを指しています。
例外条項
先ほど説明した通りNBAではチームサラリーがサラリーキャップという上限を超えてしまう場合、選手とその契約をすることはできません。
ですが例外条項(Exception)に当てはまる場合には、チームサラリーがサラリーキャップを超える場合でも選手との契約が可能なんです。
NBAはソフトキャップを採用したことによって、様々な例外条項を設けていくことになりました。
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今回解説する4つの例外条項
そんな例外条項の中から、この記事では以下4つを解説します。
それぞれの例外条項を「テーマ」・「条件」「契約内容」「サラリー」のポイントに注目しながら確認していきましょう。
- テーマ=その例外条項にはどんな目的がある?
- 条件=どういった場合に適用できる?
- 契約内容=契約年数や形態は?
- サラリー=適用する際のサラリーは決まってる?
テーマを踏まえつつポイントごとに比較していくと、混乱しがちな例外条項もしっかり理解できると思います。
⑴ ルーキー例外条項
ルーキー例外条項(ROOKIE EXCEPTION)
ルーキーはチームの未来を担っていく非常に重要な存在です。特にドラフト1巡目指名選手ともなると1人でチームを変えられる可能性を秘めています。
そんな将来有望な選手をドラフト1巡目で指名できたのに、「サラリーキャップがもう埋まっているのでやっぱり契約できません」なんてことは絶対避けたいですよね。当然選手側からしてもそんな事態は御免です。
なのでNBAでは、チームのサラリー状況に関わらずドラフト1巡目指名選手と契約できるようにこのルーキー例外条項を設けているんです。
- 条件:ドラフト1巡目(1位〜30位)指名のルーキー
- 契約内容:ルーキー契約(完全保証2年 + 3・4年目はチームオプション)
- サラリー:ルーキースケール契約(指名順位によって変わる)
条件にもあるようにこの例外条項はドラフト1巡目指名のルーキーにのみ適用可能ですので、2巡目指名や2Way契約など他の契約形態のルーキーには適用されません。
ルーキー契約については別の記事で詳しく解説していますので、是非こちらでご確認ください。
⑵ ミニマムプレイヤーサラリー例外条項
ミニマムプレイヤーサラリー例外条項(MINIMUM PLAYER SALARY EXCEPTION)
チームサラリーがサラリーキャップを超えている場合でも、ミニマム契約の選手とは契約できるようにする
このテーマを言い換えると、選手とミニマム契約を結んだ場合にはチームのサラリーキャップに影響を与えないというものです。
ちなみにこのミニマムプレイヤーサラリー例外条項は、複数の選手との契約に適用可能です。
⑶ ディスエイブルドプレイヤー例外条項
ディスエイブルドプレイヤー例外条項(DPE / DISABLED PLAYER EXCEPTION)
スポーツに怪我は付き物ですが、特に所属選手がシーズン絶望となるような大怪我の場合はチームにもダメージが大きく、新たに選手の補強に動くこともあります。
予期せぬ事態ですので当然サラリーキャップが既に埋まっているなんてことも。

そんな状況になったとしても、チームサラリーに関係なく新たな選手との契約を結ぶことができるようにこのDPEという例外条項を設けているんです。
- 条件:所属選手が怪我や病気でシーズン復帰不可能となり、リーグが指定するドクターによる承認を受けた場合*2
- 契約内容:1年契約のみ
- サラリー:「欠場選手のサラリー50%」 or 「ノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外条項の設定額」 で少ない方
サラリーが「上記の金額+$0.1Million」の金額内であれば、FAでなくトレードで選手を獲得した場合にも適用可能です。
⑷ REINSTATEMENT
REINSTATEMENT(復帰に関する例外条項)
チームサラリーがサラリーキャップを超えている場合でも、リーグの薬物規定違反で追放されていた選手は以前所属していたチームと再び契約できる
NBAでは薬物規定を設けており、それに違反した場合には罰金や出場停止、追放などの処分が下されます。
最近ではペイサーズのタイリーク・エバンスが薬物規定に違反し2年間の追放という話題もありました。
REINSTATEMENTとはそんな薬物規定違反で追放になっていた選手が復帰する際に、所属していたチームと契約しやすくするものです。
- 条件:薬物規定違反で追放されていた選手が、所属していたチームと再契約する場合
- 契約内容:昇給率5%・最長4年
- サラリー:「追放前のサラリー」 or 「選手の平均サラリー」 で少ない方
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まとめ
今回は4つの例外条項について解説してきました。
例外条項は数多く存在していてかなり複雑ですが、今回の記事のようにその例外条項のテーマを踏まえながらポイントを絞って確認していくことで、だんだん理解できるようになると思います。
ここで改めて今回の解説したポイントをまとめておさらいしましょう。
- "例外条項"とはサラリーキャップを超える場合でも選手と契約できるという制度
- ドラフト1巡目指名選手との契約はルーキー例外条項が適用可能
- ミニマム契約はチームサラリーに関係なく契約できる
- シーズン復帰不可能の選手がいる場合はDPEが適用可能
- 薬物規定違反選手が復帰する際にREINSTATEMENTが適用できる
最後に
「用語で解るNBA」というカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。