この記事では、NBAのサラリーキャップにおける例外条項をまとめて紹介しています。
それぞれの例外条項に関する解説記事とあわせて読んでいただくと、より納得して理解することができると思います。
例外条項とは
今回解説するのは"例外条項"と呼ばれる制度です。
選手の年俸やチームのサラリーについて調べていると頻繁に登場する用語ですので、ここではまず例外条項についてざっくりと確認しておきましょう。
ソフトキャップ
そもそもNBAには"サラリーキャップ"つまりチームが「各選手に払う給料の総額」は「上限決めます」というルールがあります。
実はそのサラリーキャップにも大きく2つ"ハードキャップ"と"ソフトキャップ" があり、NBAはソフトキャップという種類のものを採用しました。
ソフトキャップとは「上限決めます」ただし場合によって「超えてもOK」というルールのこと。
そしてこの「場合によって」というのが「例外条項に当てはまる場合」のことを指しています。
例外条項
先ほど説明した通りNBAではチームサラリーがサラリーキャップという上限を超えてしまう場合、選手とその契約をすることはできません。
ですが例外条項(Exception)に当てはまる場合には、チームサラリーがサラリーキャップを超える場合でも選手との契約が可能なんです。
NBAはソフトキャップを採用したことによって、様々な例外条項を設けていくことになりました。
今回はその例外条項をまとめて紹介していきます。
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11個の例外条項
この記事でNBAサラリーキャップにおける例外条項を11個まとめて紹介します。
このブログではそれらを便宜上3つに分類しています。
- バード例外条項
- ミッドレベル例外条項
- その他の例外条項
それぞれの例外条項を「テーマ」・「条件」「契約内容」「サラリー / 設定額」というポイントに注目しながらざっくり確認していきます。
- テーマ=その例外条項にはどんな目的がある?
- 条件=どんな場合に適用できる?
- 契約内容=契約年数や昇給率などは?
- サラリー / 設定額=適用する際のサラリーは決まってる?
より詳しい解説についてはそれぞれ個別の解説記事をアップしていますので、該当のリンクからご確認下さい。
バード例外条項
"バード例外条項"には関連する3つの例外条項が存在しています。
⑴ ラリー・バード例外条項
⑵ アーリーバード例外条項
⑶ ノンバード例外条項
これら3つの例外条項は「選手のチーム在籍年数」に応じて適用可能な例外条項です。
選手がFAになる際に、所属しているチームとの再契約交渉を有利にする
つまりこのバード例外条項を適用すると、FAになった選手は「他のチームに移籍する」よりも「所属しているチームと契約する」方がいい条件で契約できるということなんです。
⑴ ラリー・バード例外条項
ラリー・バード例外条項 (Qualifying Veteran Free Agent Exception)
- 条件:FAでチームを移籍することなく3シーズン契約を満了した選手*1
- 契約内容:昇給率8%まで・最長5年契約
- サラリー:マックス契約の金額まで可能
ラリー・バード例外条項を適用できる権利を"バード権(Bird rights)" と呼んでいます。
⑵ アーリーバード例外条項
アーリーバード例外条項 (Early Qualifying Veteran Free Agent Exception)
- 条件:FAでチームを移籍することなく2シーズン契約を満了した選手
- 契約内容:昇給率8%まで・2年〜4年契約
- サラリー:「昨シーズンのサラリー×1.75」or「昨シーズンの選手平均サラリー×1.05」で高い方の金額まで可能
これはラリー・バード例外条項の一回り小さいバージョンというイメージです。
⑶ ノンバード例外条項
ノンバード例外条項 (Non-Qualifying Veteran Free Agent Exception)
- 条件:1年契約、シーズン終了まで契約を満了した選手*2
- 契約内容:昇給5%まで・最長4年
- サラリー:「昨シーズンのサラリー×1.2」or「ミニマムサラリー×1.2」or「クオリファイング・オファーの額」の中で高いものの金額まで可能
これはラリー・バード例外条項もアーリーバード例外条項も適応されない選手が所属チームと再契約する場合の例外条項となっています。
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ミッドレベル例外条項
"ミッドレベル例外条項"には3つの関連する例外条項があり、さらに別の種類ですが1つ類似した例外条項が存在しています。
⑴ ノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外条項
⑵ タックスペイヤー・ミッドレベル例外条項
⑶ ルーム・ミッドレベル例外条項
⑷ バイアニュアル例外条項
これら4つは「チームのサラリー状況」に応じて適用可能な例外条項です。
このテーマにもある「チームのサラリー状況」を判断する際には"エプロン"という基準が重要になってきます。
⑴ ノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外条項
ノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外条項(NON-TAXPAYER MID-LEVEL EXCEPTION)
"フルミドル・エクセプション"とも呼ばれます。
- 条件:その契約の後に「チームサラリーがサラリーキャップ〜エプロンの間」になる場合
- 設定額:(2019-20シーズン) $9.258million
- 契約内容:昇給率5%・最長4年
この例外条項を使用した場合、チームサラリーがエプロンを超えてはいけないハードキャップとなります。*4
⑵ タックスペイヤー・ミッドレベル例外条項
タックスペイヤー・ミッドレベル例外条項(TAXPAYER MID-LEVEL EXCEPTION)
"ミニミドル・エクセプション"とも呼ばれます。
- 条件:「チームサラリーがエプロンを超えている」もしくはその契約の後に「チームサラリーがエプロンを超える」場合
- 設定額:(2019-20シーズン) $5.718million
- 契約内容:昇給率5%・最長3年
他のミッドレベル例外条項もしくはバイアニュアル例外条項を既に使用している場合には、後にサラリーの変動があってもこの例外条項は使用できません。
⑶ ルーム・ミッドレベル例外条項
ルーム・ミッドレベル例外条項(ROOM MID-LEVEL EXCEPTION)
- 条件:「チームサラリーがサラリーキャップを下回っている」場合
- 設定額:(2019-20シーズン) $4.767million
- 契約内容:昇給率5%・最長2年
これも他のミッドレベル例外条項もしくはバイアニュアル例外条項を既に使用している場合には、後にサラリーの変動があってもこの例外条項は使用できません。
⑷ バイアニュアル例外条項
バイアニュアル例外条項(BI-ANNUAL EXCEPTION)
- 条件:その契約の後に「チームサラリーがサラリーキャップ〜エプロンの間」になる場合
- 設定額:(2019-20シーズン) $3.623million
- 契約内容:昇給率5%・最長2年
ほかのミッドレベル例外条項と同じく、設定額の範囲内であれば複数の選手との契約が可能ですが、その名の通り2年連続で使用することはできません。
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その他の例外条項
ここからは残る4つの例外条項をまとめて紹介します。
⑴ ルーキー例外条項
⑵ ミニマムプレイヤーサラリー例外条項
⑶ ディスエイブルドプレイヤー例外条項
⑷ REINSTATEMENT
それぞれ個別のテーマがありますので、そちらにも注目して確認していきましょう。
⑴ ルーキー例外条項
ルーキー例外条項(ROOKIE EXCEPTION)
- 条件:ドラフト1巡目(1位〜30位)指名のルーキー
- 契約内容:ルーキー契約(完全保証2年 + 3・4年目はチームオプション)
- サラリー:ルーキースケール契約(指名順位によって変わる)
条件にもあるように、この例外条項はドラフト1巡目指名のルーキーにのみ適用可能ですので、2巡目指名や2Way契約など他の契約形態のルーキーには適用されません。

⑵ ミニマムプレイヤーサラリー例外条項
ミニマムプレイヤーサラリー例外条項(MINIMUM PLAYER SALARY EXCEPTION)
チームサラリーがサラリーキャップを超えている場合でも、ミニマム契約の選手とは契約できるようにする
ちなみにこのミニマムプレイヤーサラリー例外条項は、複数の選手との契約に適用可能です。
⑶ ディスエイブルドプレイヤー例外条項
ディスエイブルドプレイヤー例外条項(DPE / DISABLED PLAYER EXCEPTION)
- 条件:所属選手が怪我や病気でシーズン復帰不可能となり、リーグが指定するドクターによる承認を受けた場合*6
- 契約内容:1年契約のみ
- サラリー:「欠場選手のサラリー50%」 or 「"ノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外条項"の設定額」 で少ない方
サラリーが「上記の金額+$0.1Million」の金額内であれば、FAでなくトレードで選手を獲得した場合にも適用可能です。
⑷ REINSTATEMENT
REINSTATEMENT(復帰に関する例外条項)
チームサラリーがサラリーキャップを超えている場合でも、リーグの薬物規定違反で追放されていた選手は以前所属していたチームと再び契約できる
- 条件:薬物規定違反で追放されていた選手が、所属していたチームと再契約する場合
- 契約内容:昇給率5%・最長4年
- サラリー:「追放前のサラリー」 or 「選手の平均サラリー」 で少ない方
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まとめ
NBAのサラリーキャップにおける例外条項をまとめて紹介しました。*7
例外条項は数多く存在していますので、一見するとかなり複雑ですが、今回の記事のようにその例外条項のテーマを踏まえながらポイントを絞って確認していくことでだんだん理解できるようになると思います。
ここで改めて今回の解説した例外条項を、ポイントを踏まえながらおさらいしましょう。
最後に
「用語で解るNBA」というカテゴリーではNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。
*1:3年連続の1年契約でも適用可能
*2:アーリー・バード権を放棄した選手も対象
*3:決められた設定額内であれば、1人だけでなく複数選手との契約も可能
*4:予め契約内容を"タックスペイヤー・ミッドレベル例外条項"で利用可能な範囲内に設定しておいた場合には、後にエプロンを超えることになっても"タックスペーヤー・ミッドレベル例外条項"を使用した扱いに変更可能
*5:シーズン途中で契約を結んだ場合のサラリーは、開幕からの経過日数分だけ日割りで変動
*6:チームがリーグに申請し、リーグ指定のドクターによって「該当選手は6/15まで復帰不可」と承認された場合に適用可能
*7:トレード選手獲得の際に適用されるものも存在