NBAドラフトは、毎年世界中のバスケットボールファンが一つになり注目するイベントです。
しかしNBAドラフトの仕組みは少し複雑で、1巡目と2巡目の違い、選手が指名された後の契約内容など、理解するのは容易ではありません。
ということで今回の記事では、NBAドラフトの仕組みについて解説したいと思います。
日本人選手のNBAドラフトなども詳しく見ていきましょう。
押さえておきたいポイント
"NBAドラフトの仕組み"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- NBAドラフトって?
- 指名順はどうやって決める?
- どんな選手が参加できる?
- 1巡目と2巡目の違いは?
- 日本人選手も指名された?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"NBAドラフトの仕組み"について紹介していきます。
NBAドラフトについて
まずはNBAドラフトの仕組みを解説します。
指名順の決定方法やドラフト参加資格についても見ておきましょう。
NBAドラフトとは
NBAドラフトは、NBAの各チームが新たな才能を獲得するためのイベントです。
このイベントは毎年6月の下旬に開催されます。
NBAドラフトの歴史は長く、その形式は何度も変わってきました。
初期のドラフトでは各チームは対象選手が尽きるまで選んでいましたが、1989年のドラフトからは2巡目までに制限されるようになっています。
また2024年のドラフトからは1巡目と2巡目が別々の場所で開催されるようになり、日程もそれぞれ分けて開催される予定です。
2024年 NBAドラフト(スクロール可能)
日程 | 会場 | |
---|---|---|
1巡目 | 6/27 | バークレイズセンター |
2巡目 | 6/28 | シーポートディストリクトスタジオ |
NBAドラフトは例年NBA Rakutenなどで配信されています。
2023年は有料契約者向けの配信でしたので、興味がある方は事前に登録しておいてください。
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指名順の決定方法
NBAドラフトの指名順は、前シーズンの成績と抽選(ロッタリー)によって決定されます。
具体的な流れは以下の通りです。
- 前季プレーオフに出場できなかった14チームで、1位指名から4位指名までを抽選で決定
- その抽選に外れた10チームで、5位指名から14位指名までを前季の成績が悪かった順に決定
- 残りの15位指名から60位指名は、前季の成績が悪かった順に決定
抽選は「ロッタリーピック」と呼ばれ、成績が悪かったチームほど1位の指名権を得る確率が高くなっています。
NBAはこの抽選結果の発表も配信されていますので、是非そちらもチェックしてみてください。
ドラフト参加資格
NBAドラフトに参加するための資格は、年齢や国籍によって異なります。
主な条件をまとめました。
1. 年齢
- ドラフトの年の12月31日までに19歳以上であることが求められます。
2. 高校卒業からの年数
- アメリカ国内の選手の場合、ドラフトの年の12月31日までに19歳以上であることに加え、高校を卒業してから少なくとも1年以上経過している必要があります。
- アメリカ国外の選手(国際選手)は、高校卒業からの経過年数に関する条件は適用されません。ドラフトの年の12月31日までに19歳以上であることが求められます。
3. 大学生
- NCAA(全米大学体育協会)に所属する選手は、少なくとも1年間大学でプレーすることが推奨されていますが、ドラフトにエントリーするためには、大学でのプレー年数に関係なく、上記の年齢制限と高校卒業からの時間経過条件を満たす必要があります。
4. 自動エントリー
- 22歳以上の国際選手、または大学4年生は、自動的にドラフトにエントリーされます。
5. アーリーエントリー
- 自動エントリー外でドラフトに参加したい選手は「アーリーエントリー」としてドラフトにエントリーすることができます。この場合、ドラフトの60日前までにNBAに対してエントリーを宣言する必要があります。
- ドラフトの10日前までにエントリーを撤回することで、その後も大学でのプレー資格を維持することが可能です。
このような条件を満たした選手たちの中から、毎年僅か60人だけがドラフトの指名を受けることになります。
次はそんなドラフト指名を受けた選手について見ていきましょう。
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1巡目指名と2巡目指名の違い
同じ年のドラフトで指名された選手でも、その指名順位によって契約内容が大きく異なります。
その背景にあるのが、1巡目選手に適用される「ルーキースケール契約」です。
ルーキースケール契約では「契約金額」「契約期間」「保証内容」などの条件があらかじめ規定されていて、それにより新人選手でも安定した初期契約を結ぶことが可能になります。
一方、2巡目で指名された選手にはこのルーキースケール契約が適用されませんので、その結果「契約金額」「契約期間」「保証内容」に大きな差が生まれるわけです。
ではそれぞれを詳しく見てみましょう。
契約金額
- 1巡目:指名順位によって決定
- 2巡目:最低保証に近い金額
1巡目で指名された選手の契約金額は、NBAのルーキースケール契約に基づいて決定されます。
その金額は上位指名選手ほど高額になり、全体1位で指名された選手だと4年間で合計約5000万ドル以上の契約を結ぶことも。
2024年のルーキースケール(スクロール可能)
合計 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | |
---|---|---|---|---|---|
1位 | $57,194,232 | $12,605,760 | $13,236,360 | $13,866,480 | $17,485,632 |
2位 | $51,185,934 | $11,278,680 | $11,842,800 | $12,406,920 | $15,657,534 |
3位 | $45,987,522 | $10,128,480 | $10,634,640 | $11,141,520 | $14,082,882 |
4位 | $41,473,010 | $9,131,760 | $9,588,600 | $10,045,320 | $12,707,330 |
5位 | $37,573,217 | $8,269,440 | $8,682,600 | $9,096,240 | $11,524,937 |
6位 | $34,135,176 | $7,510,680 | $7,886,280 | $8,262,000 | $10,476,216 |
7位 | $31,176,028 | $6,856,440 | $7,199,520 | $7,541,880 | $9,578,188 |
8位 | $28,575,059 | $6,281,280 | $6,595,440 | $6,909,480 | $8,788,859 |
9位 | $26,279,554 | $5,773,800 | $6,062,760 | $6,351,360 | $8,091,634 |
10位 | $24,969,982 | $5,485,080 | $5,759,280 | $6,033,240 | $7,692,382 |
11位 | $24,021,017 | $5,210,760 | $5,471,520 | $5,732,160 | $7,606,577 |
12位 | $23,098,277 | $4,950,480 | $5,198,160 | $5,445,600 | $7,504,037 |
13位 | $22,206,623 | $4,702,800 | $4,938,120 | $5,173,200 | $7,392,503 |
14位 | $21,353,078 | $4,467,960 | $4,691,400 | $4,914,840 | $7,278,878 |
15位 | $20,526,044 | $4,244,160 | $4,456,320 | $4,668,600 | $7,156,964 |
16位 | $19,505,670 | $4,032,240 | $4,233,720 | $4,435,560 | $6,804,150 |
17位 | $18,537,485 | $3,830,280 | $4,021,920 | $4,213,440 | $6,471,845 |
18位 | $17,619,313 | $3,639,120 | $3,820,680 | $4,002,960 | $6,156,553 |
19位 | $16,834,358 | $3,475,200 | $3,648,840 | $3,822,960 | $5,887,358 |
20位 | $16,166,314 | $3,336,000 | $3,502,800 | $3,669,360 | $5,658,154 |
21位 | $15,700,787 | $3,202,560 | $3,362,880 | $3,523,080 | $5,612,267 |
22位 | $15,248,165 | $3,074,640 | $3,228,240 | $3,381,960 | $5,563,325 |
23位 | $14,807,321 | $2,951,760 | $3,099,480 | $3,246,600 | $5,509,481 |
24位 | $14,378,284 | $2,833,800 | $2,975,520 | $3,117,120 | $5,451,844 |
25位 | $13,957,745 | $2,720,040 | $2,855,880 | $2,992,440 | $5,389,385 |
26位 | $13,500,112 | $2,630,040 | $2,761,440 | $2,892,840 | $5,215,792 |
27位 | $13,115,096 | $2,554,200 | $2,681,880 | $2,809,920 | $5,069,096 |
28位 | $13,036,482 | $2,538,240 | $2,665,560 | $2,792,400 | $5,040,282 |
29位 | $12,941,917 | $2,520,120 | $2,646,000 | $2,772,120 | $5,003,677 |
30位 | $12,847,904 | $2,501,640 | $2,626,680 | $2,752,080 | $4,967,504 |
一方、2巡目で指名された選手にはルーキースケール契約が適用されませんので、契約金額はチームとの交渉次第で大きく異なります。
一般的には1巡目の選手に比べて低額であり、2巡目全体の選手は最低保証額に近い契約を結ぶことが多いです。
ちなみに2023年のドラフト2巡目全体45位で指名されたGG・ジャクソンは、最低保証金額の契約ですらなく2way契約という下部リーグと掛け持ちのような契約でした。
その後、彼はオールルーキーセカンドチームに選出されるほどの活躍を見せたことで4年$8,511,167の正式契約を獲得しましたが、それでも契約金額という面では1巡目指名選手を大幅に下回っています。
契約期間
- 1巡目:4年契約
- 2巡目:短期契約も多い
1巡目で指名された選手は、ルーキースケール契約によって基本的に4年間の契約を結びます。
この契約は3年目と4年目がチームオプションとなっていて、チームがオプションを行使すれば選手は4年目までプレーすることが可能です。
一方、2巡目の選手の契約年数はチームとの交渉によって異なります。
選手によっては複数年契約を結ぶケースもありますが、大抵の場合1巡目の選手よりも契約年数が短く保証も少ないことが多いです。
保証内容
- 1巡目:最初の2年間は完全保証
- 2巡目:無保証・一部保証が多い
1巡目で指名された選手の契約は、最初の2年間が完全に保証されています。
これは、選手が少なくとも2年間分の給与を確保できているということ。
仮に1年目で解雇されたとしても、しっかり2年分を給与を受け取ることが可能です。
また、3年目と4年目のチームオプションが行使されることで、4年間の保証が実質的に得られる場合もあります。
一方、2巡目で指名された選手は契約に保証が含まれない場合が多く、1巡目選手のような待遇がもらえることは少ないです。
ただし最近は2巡目で指名された選手でも一部の契約金額が保証される例が増えていて、一概に全員が無保証の契約ともいえません。
このような1巡目と2巡目の違いを理解しておくことで、NBAドラフトの視聴をより楽しめるはずです。
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日本人選手のNBAドラフト
最後に日本人選手のNBAドラフトについても見ておきます。
各選手の指名順位などをまとめました。
岡山恭崇
岡山恭崇さんは、1981年のNBAドラフトでゴールデンステート・ウォリアーズから8巡目全体171位で指名されました。
この指名は日本人選手として初めてのことであり、日本バスケットボール界にとって画期的な出来事でした。
しかし、所属チームの住友金属がNBA移籍に難色を示したことや、本人がオリンピックへの出場を希望していたこともあり、岡山さんはNBAでプレーしていません。
指名後は日本国内でのキャリアを続け、引退後にはコーチとしても活動しています。
田臥勇太
しかし彼はNCAAでの経験を積むためにアメリカの大学に進学し、その後もNBAへの道を模索し続けます。
そして2004年、田臥選手はフェニックス・サンズと契約し、NBAのコートに立った最初の日本人となりました。
NBAでは短期間のプレーにとどまりましたが、その後もNBDLや日本のBリーグでプレーを続け、日本バスケットボール界の発展に寄与し続けています。
渡邊雄太
しかしNBAサマーリーグやトレーニングキャンプでの活躍を通じて、2018年にメンフィス・グリズリーズとの2way契約を獲得しています。
その後はトロント・ラプターズ、ブルックリン・ネッツ、フェニックス・サンズなどで6年間プレーしましたが、2023-24シーズンをもってNBAでの活動を終了すると発表。
2024-25シーズンからは日本のBリーグでプレーする見込みです。
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八村塁
八村塁選手は、2019年のNBAドラフトでワシントン・ウィザーズから1巡目全体9位で指名されました。
これにより彼は日本人初の1巡目指名選手となり、日本バスケットボール界に新たな歴史を刻みました。
ウィザーズでのキャリアをスタートさせた八村選手は、ルーキーシーズンから即戦力として活躍し、チームの中心選手の一人に。
ロサンゼルス・レイカーズへの移籍後には、スーパースターのレブロン・ジェームズらとともにスターターに抜擢され、有望選手として今後のさらなる成長が期待されています。
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