「ザイオン・ウィリアムソンが故障で開幕から欠場」
これは2019-20シーズンのNBAにとって大きな損失の一つです。
ただ開幕から20試合以上欠場しているにも関わらず、現地ブックメーカーでは未だに新人王候補の上位にザイオンの名前がランクインしています。
しかしこんなに欠場している選手が実際に新人王を獲得することは可能なのでしょうか?
そもそも受賞に必要な出場試合数などの基準はあるのでしょうか?
ということで今回は新人王を「出場試合数」というポイントに注目して見ていきたいと思います。
押さえておきたいポイント
"新人王の出場試合数"について理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"新人王の出場試合数"について説明していきます。
新人王
まずはそもそも新人王がどんなものなのかざっくりと確認しておきましょう。
ここでは「新人王とは」「選考方法」というポイントに注目して紹介していきます。
新人王とは
新人王(Rookie of the Year)は文字通り最も優れたルーキーに与えられる賞です。
毎年NBAファイナル終了後の6月に開催されるNBA Awardsにおいて、MVPなど各賞とともに受賞者が発表されます。

選考方法
MVPや新人王といった主要部門はメディア投票によって選考されます。
北米のスポーツライターやキャスターによって投票が行われ、それぞれ獲得したポイントのランキングでトップになった選手が受賞するという流れ。
2018-19シーズンの新人王はダラスマーベリックスのルカ・ドンチッチが受賞しました。
このシーズンのドンチッチは、過去にルーキーで4人しか達成していない平均20点5リバウンド5アシストという素晴らしい記録も残しています。
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- 新人王は毎年6月のNBA Awardsで発表
- メディアの投票によって選考される
- 2018-19はルカ・ドンチッチが受賞
出場試合数
ここからは本題の出場試合数について見ていきたいと思います。
実際の選考において「明確な基準はあるのか」「過去の新人王で出場試合数が少なかった選手」という点から解説します。
明確な基準はある?
結論から言うと、新人王の選考において出場試合数に関する明確なガイドラインは存在していません。
つまり出場試合数はあくまで「有権者が投票する際の判断基準」の一つというわけです。
ですが「有権者が投票する際の判断基準」において、この出場試合数が非常に重視されているというのもポイントです。
典型的な例としてジョエル・エンビードのルーキーシーズンを見てみましょう。
2014年ドラフト全体3位で76ersに入団したジョエル・エンビードはカンザス大学時代からケガに苦しんでおり、その影響で2014-15、2015-16シーズンは全休に終わりました。
なので2016-17シーズンが彼のルーキーシーズンになったわけです。

NBAデビュー後は3ヶ月連続でイースタンカンファレンスの月間最優秀新人賞を獲得するなど目覚しい活躍を続けたエンビード。
ルーキーらしからぬ平均20.2点7.8リバウンド2.5ブロックという驚異的なスタッツを記録していましたが、左膝の故障で1月以降は欠場となってしまいます。
結局レギュラーシーズン全82試合のうち31試合の出場のみにとどまったエンビードが新人王を受賞することはなく、ミルウォーキーバックスのマルコム・ブログドンがこの年の新人王に輝きました。
ちなみにブログドンはこのシーズン75試合に出場して平均10.2点2.8リバウンド4.2アシストというスタッツです。
この結果からもわかる様に、どれだけ良いスタッツを残していてもシーズンの大半を欠場した選手にはなかなか投票しません。
では有権者が投票する際には具体的にどれぐらいの出場試合数が目安となるのでしょうか?
歴代新人王の出場試合数
歴代新人王の中でも出場試合数が少なかった選手たちを見てみましょう。
- 第1位 パトリック・ユーイング:50試合
- 第2位 ビンス・カーター:50試合 ※
- 第3位 カイリー・アービング:51試合 ※
- 第4位 テリー・ディッシンガー:57試合
- 第5位 ブランドン・ロイ:57試合
最も少ないのは1985-86シーズンの新人王パトリック・ユーイングで50試合。
第2位と第3位についてはそれぞれロックアウトの影響で試合数が減ったシーズンでしたので、実際にはレギュラーシーズンのほとんどに出場しています。*1
つまりこのような過去の前例を元にするなら、新人王受賞に必要な試合数は82試合中「50試合」というのが一つの基準と考えられそうです。
別の視点からも見てみましょう。
投票で決まる新人王などとは違って、得点王やリバウンド王といった純粋に数字のみで評価されるものについては最低出場試合数という明確なな基準があります。
NBA.com/Stats | Statistical Minimums
多くの部門で条件となっているのが「チームの全試合のうち70%に出場している」ということ。
つまりレギュラーシーズン82試合の70%ですので、最低58試合に出場していることが条件とされています。
これはあくまで得点王などの基準ですが、出場試合数という点では「58試合」が一つの目安となる数字なのかもしれません。
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- 新人王の出場試合数に明確な基準はない
- 31試合にのみ出場のエンビードは受賞ならず
- パトリック・ユーイングの50試合が最少
- スタッツリーダーに必要な試合数は58試合
- 50〜58試合くらいが選考の最低基準か
ザイオンが新人王を獲るためには
ここまで解説した内容を踏まえて、新人王を獲得するのに必要な出場試合数を仮に「50試合」としましょう。
ザイオンがその50試合に出場するための「デッドライン」や、現時点でチームから発表されている「復帰時期」についても見ておきたいと思います。
デッドライン
ザイオンが所属するニューオーリンズペリカンズのスケジュールをNBA公式サイトから確認すると、シーズン終了時に50試合出場する為のデッドラインは現地12/28のペイサーズ戦となっています。
ただこれはあくまで復帰してから「全試合に出場すること」が前提。
基本的にNBAでは大きな怪我明けの選手を連戦に出場させませんので、この日程には現実味がありません。
「連戦となる2試合目には出場しない」というのを考慮すると、デッドラインが現地12/11のバックス戦です。
さらに開幕からまだプレーしていないザイオンが復帰したとして、いきなり以前ようなパフォーマンスを発揮できるのかということも疑問が残るところ。
要するにザイオンが2019-20シーズンに新人王を獲得するのは、既に非常に難しい状況だということが分かります。
予想される復帰時期
ザイオンの復帰には6週間〜8週間はかかるとの予想でしたので、12月中旬頃の復帰が期待されていました。
しかし最近になって復帰時期は2020年の年明け以降になるとのレポートも。
スーパールーキー不在のペリカンズは開幕から苦しんでいますが、ザイオンに無理をさせてまで上位を狙うチーム状況でないことも確かです。
是非とも無理をせず健康な状態で戻ってきて欲しいですね。
【2020年1月 追記】
2020年1月23日のサンアントニオスパーズ戦でザイオン・ウィリアムソンが遂にNBAデビューを果たしました。
そこではドラフト全体1位にふさわしい活躍を見せています。

【2020年9月 追記】
例年より随分遅くなりましたが、2019-20シーズンのNBAアワードがついに発表されました。
2019-20シーズンの新人王に選ばれたのはメンフィス・グリズリーズのジャ・モラント。
投票結果を見るとザイオンは第3位です。
デビュー後に良い活躍をしていたものの、やはり出場が24試合のみでは流石に受賞出来ませんでした。
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- ザイオンが50試合出場のデッドラインは12/28
- 連戦欠場を考慮すると12/11がデッドライン
- 復帰には6〜8週間かかると言われていた
- 年明け以降にまで復帰が遅れることになりそう
まとめ
今回は新人王に必要な出場試合数とザイオン・ウィリアムソンにフォーカスして解説しました。
あくまで過去の前例を元にしていますので、今後スーパールーキーがその記録を塗り替えることにも期待しておきたいと思います。
それではここで改めて今回解説した内容をおさらいしておきましょう。
- 新人王は毎年6月のNBA Awardsで発表
- メディアの投票によって選考される
- 新人王の出場試合数に明確な基準はない
- パトリック・ユーイングの50試合が最少
- スタッツリーダーに必要な試合数は58試合
- 50〜58試合くらいが選考の最低基準か
- ザイオンが50試合出場のデッドラインは12/28
- 連戦欠場を考慮すると12/11がデッドライン
- 復帰には6〜8週間かかると言われていた
- 年明け以降にまで復帰が遅れることになりそう
最後に
「用語で解るNBA」というカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。