2019-20シーズンのNBAはワシントンウィザーズの八村塁選手の影響で日本からの注目度も非常に高まっています。
しかし私たちNBAファンとしては、メンフィスグリズリーズと2way契約を結んでいる渡邊雄太選手やテキサスレジェンズに所属している馬場雄大選手も見逃せません。
NBA本契約を目指してGリーグでプレーする2人にとって、重要となってくるのがコールアップと呼ばれるものです。
実は一口にコールアップといっても「Gリーグプレーヤーの馬場選手」と「2way契約を結んでいる渡邊選手」とではコールアップの内容が少し異なります。
今回はそんなコールアップについて詳しく見ていきましょう。
「用語で解るNBA」とは
このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。
「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。
この記事では"コールアップ"という用語を詳細にではなくざっくり解説します。
その中でもテーマや図解を交えることで納得してNBAを理解できるようになっています。
押さえておきたいポイント
"コールアップ"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- 2way契約って?
- コールアップって何?
- 渡邊と馬場では何が違う?
- コールアップの意義って?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"コールアップ"について説明していきます。
Gリーグと2way契約
本題であるコールアップを理解する前に、まずは「Gリーグ」と「2way契約」についてざっくり確認しておきましょう。
それぞれ別の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧いただくことをオススメします。
Gリーグとは
Gリーグ(NBA G League)とはNBA公式のマイナーリーグのこと。
2020年1月現在Gリーグには28チームが在籍し、一部チームを除きそれぞれが特定のNBAチームと提携をしています。*1
NBAに向けた選手の育成をはじめ、コーチ・オフィシャル・フロント陣もこのGリーグで経験を積んでいます。
なのでGリーグチームとNBAチームは様々な目的でお互いに選手を行き来させることが可能なんです。
2way契約とは
2way契約は2017年からNBAで始まった新しい契約形態です。
この2way契約を結んだ選手は「NBA選手でありGリーグプレーヤーでもある」という状態になります。
基本的にはGリーグで活動して、最大45日間をNBAチームで活動できるという契約
NBAチームと2way契約を結んだ選手は、多くの場合提携するGリーグのチームで活動します。
渡邊選手はNBAのメンフィス・グリズリーズと2way契約を結んだので、Gリーグのメンフィス・ハッスルでの活動が中心です。
そしてNBAのチームからコールアップされた場合にはチームと合流し、最大45日間の試合や練習に帯同できます。
つまりNBAのチームと契約してはいますが、シーズンの大半をGリーグで活動するということも少なくないんです。
Gリーグプレーヤーや2way契約選手にとって、このコールアップはNBAへの大きなチャンスに繋がります。
次はそんなコールアップについて詳しく見ていきましょう。
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コールアップ
先ほども少し触れたコールアップ。
この項では「コールアップとは何か」「コールアップできるNBAチーム」というポイントに注目して解説します。
コールアップとは
ここで言うコールアップ(Call-Up)とは「Gリーグチームに所属する選手」を「NBAチーム」に招集することを意味します。
そもそもGリーグの目的が「NBAに向けた選手の育成」ですので、このコールアップはGリーグプレーヤーがNBAでの実戦経験を積むために大きな役割を果たしています。
逆にNBAから見た場合でも、注目しているGリーグプレーヤーをNBAの実戦で試したり、ケガ人が出た際の補強などにも役立っているわけです。
そして冒頭でも紹介した様に、Gリーグプレーヤーと2way契約選手とではコールアップの内容が微妙に異なります。
次は「コールアップできるNBAチーム」に注目して、それぞれの場合を確認しておきましょう。
Gリーグプレーヤーの場合
Gリーグチームに所属している選手は基本的に全てのNBAチームからコールアップを受けることができます。
要するに「所属しているGリーグチームと提携するNBAチーム」だけでなく、「他のNBAチーム」からもコールアップしてもらえる可能性があるということ。*2
例えばGリーグプレーヤーである馬場雄大選手の場合、テキサスレジェンズが提携するダラスマーベリックスだけでなく他のチームからもコールアップされることが可能となっています。
マーベリックスのチーム状況によって全くコールアップされなかったとしても、しっかりとGリーグで結果を残していけば他のNBAチームから声がかかることがあるんです。
2way契約選手の場合
では2way契約を結んだ選手の場合はどうでしょう。
先述の通り2way契約はNBAチームと結ぶ契約で、コールアップされると最大45日間NBAチームに帯同できるというものでした。
2way契約選手におけるコールアップのポイントは 「契約を結んでいるNBAチームのみコールアップできる」という点。
つまり2way契約の渡邊雄太選手の場合、2way契約を結んだメンフィスグリズリーズのみがコールアップできるということなんです。
例えば渡邊選手がGリーグのメンフィスハッスルでとても良い活躍したとしましょう。
同時にメンフィスグリズリーズのロスターが充実してチーム状況も順風満帆だった場合、渡邊選手はなかなかコールアップされません。
そんなときに別のチームが渡邊選手に興味を持ったとしても、他のチームはコールアップすることができないんです。
これだけ見ると2way契約の方がデメリットのある契約という印象を持ってしまいそうなので補足しておきますが、サラリーなどの待遇を考えてもGリーグ契約より2way契約の方が良いのは間違いありません。
あくまでコールアップという点での違いとして、頭に入れておきましょう。
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コールアップの意義
実際のところGリーグプレーヤーや2way契約選手にとって、コールアップされることにはどんな意義があるのでしょうか。
ここでは「サラリー」「NBAでの実践経験」というポイントでコールアップを紐解きます。
サラリー
Gリーグプレーヤーや2way契約選手にとって、コールアップされるということはまず第一に金銭的な面で大きな影響があります。
それぞれのサラリーに注目してその影響を見ていきましょう。
・Gリーグ契約の場合
選手とチームが個別の契約を結ぶNBAの場合とは違って、選手とリーグが契約を結ぶ形式のGリーグ契約では基本的なサラリーが定められています。
$35,000/年 or $7,000/月(レギュラーシーズンの5ヶ月間)
NBAのルーキーでさえミニマムサラリーが$898,310であることを踏まえると、このGリーグサラリーは極めて少ないのが分かります。
しかしそんなGリーグプレーヤーでも、NBAにコールアップされた場合にはNBA基準のサラリーを受けることが出来るんです。
例えば遅咲きのオールドルーキーとして32際でNBAデビューを果たしたアンドレ・イングラム。
イングラムはNBAにコールアップされた3試合で、Gリーグサラリーの2倍近い$76,236という金額を稼ぎました。
・2way契約の場合
一方の2way契約を結んだ選手のサラリーは、「NBAチームに帯同した日数」と「Gリーグチームに帯同した日数」によって決められます。
NBAチームに帯同した日
→ NBAルーキーミニマムサラリーの日割り
→ $5,075($898,310 / 177日)*3
Gリーグチームに帯同した日
→ 2wayスケールサラリーの日割り
→ $560($79,568 / 142日)*4
つまりコールアップされてNBAチームに帯同すればするほど、そのサラリーはNBA基準の金額で支払われるということ。
ちなみに2018-2019シーズンに渡邊雄太選手が受け取ったサラリーは、推定$242,280ほどです。
このように選手にとってコールアップはまず金銭的な面で大きな意味を持っているということが分かります。
NBAでの実戦経験
そして何よりコールアップされることでNBAでプレーする機会が得られるというのは、NBAを目指す選手にとって非常に重要です。
Gリーグプレーヤーの中には、海外プロリーグと契約すれば今よりもっと良い暮らしができる選手もいます。
そんな中でもGリーグを選びNBAに挑戦している選手にとって、実際のNBAでアピールするチャンスを得られるということはお金以上に重要なのかもしれません。
例えばマイアミヒートのケンドリック・ナン。
彼は2018-19シーズンをGリーグで過ごしましたが、2019-20シーズン開幕時に掴んだチャンスを逃さず新人王候補にまで登りつめています。
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まとめ
今回は"コールアップ"について解説しました。
日本人選手もNBAに挑戦することが多い今だからこそ、この記事を読んでNBAをより楽しんでもらえれば幸いです。
色々な用語が登場しましたので、ここで改めて今回解説した内容をおさらいしておきましょう。
- GリーグはNBAの公式マイナーリーグ
- GリーグとNBAで選手の行き来が可能
- 2way契約の選手は基本Gリーグで活動
- NBAチームに最大45日帯同できる
- GリーグからNBAにコールアップできる
- Gリーグ選手は全NBAチームが可能
- 2way契約選手は契約しているNBAチームのみ
- Gリーグ・2wayは低サラリー
- コールアップでNBA基準のサラリーが稼げる
- NBAでアピールするチャンスが得られる
最後に
「用語で解るNBA」というカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。