※ 2023年4月 追記
先日このブログではNBAにおけるシュートの確率について紹介しました。
その中でも少し触れましたがNBAには「50-40-90」と呼ばれる記録が存在しています。
折角ですので今回はそんな超一流シューターの証とも言われる50-40-90について紹介しておきたいと思います。
NCAAで50-40-90を達成した選手についても別の記事でまとめていますので、こちらも合わせてご覧くだだい。
「用語で解るNBA」とは
このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。
「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。
この記事では"50-40-90"という用語を詳細にではなくざっくり解説します。
その中でもテーマや図解を交えることで納得してNBAを理解できるようになっています。
押さえておきたいポイント
"50-40-90"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- 50-40-90って何?
- シュート本数に規定はある?
- 過去には誰が達成したの?
- 今シーズンは誰が該当してる?
- 他に候補者はいるの?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"50-40-90"について説明していきます。
50-40-90
まずは50-40-90について基本的な概要を紹介しておきます。
「50-40-90とはどんなものか」「達成に必要な条件」がポイントです。
50-40-90とは
50-40-90とはシーズン通してのシュート確率が「フィールドゴール50%」「3Pシュート40%」「フリースロー90%」をすべて達成したことを意味します。
つまりシーズン中あらゆるシュートを高確率で決めたというわけです。
インサイドプレーヤーにとって「フィールドゴール50%」は達成できても「フリースロー90%」が難しかったり、逆にシューターは「3Pシュート40%」を達成できたとしても「フィールドゴール50%」が難しいなんてことが珍しくありません。
要するに様々な局面において高確率なシュートを決め続けるということは至難の技であり、そんな記録を達成した選手の為に設けられた称号が50-40-90なんです。
達成に必要な条件
50-40-90達成の資格を得るためには、シーズン終了時に以下の条件も満たしている必要があります。
それぞれを1本だけ打って「100-100-100」達成なんて虫のいい話は当然ありません。
この条件はNBAが定める「スタッツリーダーに必要な最小値」に基づいています。
NBA.com/Stats | Statistical Minimums
例えば2014-15シーズンにはマイヤーズ・レナードが「51.0 - 42.0 - 93.8」という記録を残していますが、「フィールドゴール125本」「3ポイント47本」「フリースロー30本」で上記条件を満たしませんでした。
このように「確率」と「本数」両方の条件を達成して初めて、50-40-90の称号を得ることができるというわけです。
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- 50-40-90とはシュート確率に関する非公式の称号
- シーズンでFG50%・3P40%・FT90%を達成
- 必要なシュート成功数も定められている
過去の達成者
タイトルにもある通り、これまでNBAの歴史において9人の選手が50-40-90を達成しました。
ここからは過去に50-40-90を達成した選手たちを、達成時のスタッツとともに見ていきましょう。
ラリー・バード

- 1986-87:52.5% - 40.0% - 91.0%
- 1987-88:52.7% - 41.1% - 91.6%
ラリー・バードといえばマジック・ジョンソンと並び80年代NBAを代表するスーパースターです。
MVP3回獲得、ファイナル3回制覇、オールスター12回選出など数々の輝かしい功績を持つバードですが、2年連続で50-40-90という偉業も成し遂げています。
マーク・プライス
- 1988-89:52.6% - 44.1% - 90.1%
3ポイントコンテスト2年連続優勝も果たした名シューターマーク・プライスは、1988-89シーズンに50-40-90を達成しています。
プライスといえばキャバリアーズの永久欠番になっているレジェンドですが、同時期に活躍したマイケル・ジョーダンという壁に阻まれた選手の一人です。
レジー・ミラー

- 1993-94:50.3% - 42.1% - 90.8%
今では解説者としてお馴染みのレジー・ミラーも1993-94シーズンに50-40-90を達成しています。
歴代最高のシューターとしても必ず名前が挙がる選手なだけに、一回の達成というのは少なく感じてしまいます。
スティーブ・ナッシュ
- 2005-06:51.2% - 43.9% - 92.1%
- 2007-08:50.4% - 47.0% - 90.6%
- 2008-09:50.3% - 43.9% - 91.6%
- 2009-10:50.7% - 42.6% - 93.8%
NBAを代表するプレーメーカーでありながら、卓越したシュート技術も兼ね備えていたスティーブ・ナッシュは歴代最多4回の50-40-90を達成。
2005-06シーズンは「53.2-45.5-89.9」で惜しくも5年連続を逃したものの、キャリア通算成績でも「49.0-41.8-90.4」という驚異的な記録を残した選手です。
ダーク・ノヴィツキー

- 2006-07:50.2% - 41.6% - 90.4%
通算得点ランキングで歴代6位にランクするダーク・ノヴィツキーも2006-07シーズンに50-40-90を達成しています。
ストレッチ4やストレッチ5といった選手が今では珍しくありませんが、213cmのノヴィツキーが2006-07シーズンにこの記録を達成しているのも特筆すべき点でしょう。
ケビン・デュラント
- 2012-13:51.0% - 41.6% - 90.5%
- 2022-23:56.0% - 40.4% - 91.9%
現役最強スコアラーの一人であるケビン・デュラントは2012-13シーズンに一度50-40-90を達成しています。
ファイナルNBAにも輝いた2017-18シーズンには「51.6-41.9-88.9」と惜しくも届きませんでしたが、新天地ネッツで復帰後の達成にも期待が集まります。
※ 2023年4月 追記
2022-23シーズン、ケビン・デュラントが2度目の50-40-90を達成しました。
デュラントが達成した「55-40-90」という記録はNBA史上初の快挙です。
ステフィン・カリー

- 2015-16:50.4% - 45.4% - 90.8%
NBAの記録・歴史を塗り替えたシューターのステフィン・カリーは意外にも50-40-90を2015-16シーズンに一度だけ達成しています。
他のシーズンで何度も惜しい成績を残しているカリーは、50-40-90を平均30得点以上で達成している唯一の選手です。
マルコム・ブログドン
- 2018-19:50.5% - 42.6% - 92.8%
2018-19シーズン新たにマルコム・ブログドンが50-40-90クラブの仲間入りしたことで話題になりました。
終盤怪我にも悩まされたシーズンでしたが、ヤニス・アデトクンボとともにバックスの躍進を支えています。
カイリー・アービング
- 2020-21:50.6% - 40.2% - 92.2%
※ 2021年5月 追記
2020-21シーズン、ブルックリン・ネッツのカイリー・アービングが50-40-90を達成しました。
これで歴代の達成者は通算9人目となります。
こうして過去の達成者を並べてみると「意外とあの選手が達成していないんだ」と思ったりもします。
それだけ50-40-90とは狭き門であり、名だたるスーパースター達でさえ一度も達成できないような記録なんです。
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- 過去には9人が50-40-90を達成
- 複数達成はバードとナッシュの2人
- ナッシュの4回が歴代最多
2019-20シーズンの50-40-90
では2019-20シーズンの50-40-90についても確認しておきましょう。
「現時点での該当者」と「今シーズンの候補者」をそれぞれ紹介していきます。*1
現時点での該当者
このブログを書いている時点で、先述の最低本数も満たしつつ50-40-90に該当する選手はバックスのクリス・ミドルトンのみです。
クリス・ミドルトン
- 2019-20(暫定):50.3% - 43.2% - 90.0%
今シーズンは序盤に数試合の欠場があったものの、快進撃を続けるバックスの中で好調を保っています。
「50.3-43.2-90.0」というスタッツの中でも、特に3Pシュートはリーグトップクラスの確率です。
【2020年8月 追記】
シーズン再開後バブル内でのシーディングゲームも全試合が終了し、2019-20レギュラーシーズンの最終スタッツが確定しました。
クリス・ミドルトン
- 2019-20:49.7% - 41.5% - 91.6%
ミドルトンは最終戦を迎えた時点で、フィールドゴールを2/2で決めて試合を終了すれば50-40-90を達成という状況。
結果的にこの日のフィールドゴールは5/13に終わり、今シーズンの50-40-90は未達成となりました。
その他の候補者
現時点では50-40-90に及ばないものの「2019-20シーズンの達成が期待される候補選手」と「現時点でのスタッツ」も紹介しておきたいと思います。
ダンカン・ロビンソン
- 2019-20(暫定):46.1% - 43.8% - 90.9%
ボーヤン・ボグダノビッチ
- 2019-20(暫定):45.2% - 42.7% - 90.0%
デビン・ブッカー
- 2019-20(暫定):51.1% - 36.8% - 91.7%
ラマーカス・オルドリッジ
- 2019-20(暫定):51.0% - 42.9% - 84.5%
ゴードン・ヘイワード
- 2019-20(暫定):51.7% - 38.1% - 92.8%
シーズン途中から積極的に3Pを狙っているスパーズのラマーカス・オルドリッジも含まれています。
若手からオールスター経験者のベテランまで世代は様々ですね。
先ほどから何度か出てきているNBA.com/Statsでは、条件を指定して選手やチームスタッツの検索をすることができます。
ちなみに2019-20シーズンの該当者はこちらのリンクから検索可能なので暇なときに覗いてみてください。
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- 現時点での該当者はミドルトンのみ
- 該当者はNBA.com/Statsから検索可能
まとめ
今回は50-40-90について紹介しました。
過去に9人しか達成していない記録というだけあって、錚錚たるメンバーばかりです。
駆け足でざっくりと紹介しましたので、今回紹介した内容や歴代達成者のスタッツを改めておさらいしておきましょう。
- 50-40-90とはシュート確率に関する非公式の称号
- シーズンでFG50%・3P40%・FT90%を達成
- 必要なシュート成功数も定められている
- 過去には9人が50-40-90を達成
- 複数達成はバードとナッシュの2人
- ナッシュの4回が歴代最多
- 現時点での該当者はミドルトンのみ
- 該当者はNBA.com/Statsから検索可能
最後に
別の記事でもNBAの珍しい記録を紹介していますので、合わせてご覧ください。
「用語で解るNBA」というカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。
(参考)
*1:ここで紹介するスタッツは全て2020.1.31時点のhttps://stats.nba.com/ に基づく