NBAを観ていると様々な数字を目にします。
例えば50-40-90という記録。
過去にはラリー・バードやステフィン・カリーといったスーパースターしか達成していない稀有な記録です。
要するに「あらゆるシュートを高確率で沈めた」というわけですが、NBAにそこまで詳しくない方にとってはコレがどれだけ凄いのか正直ピンときません。
なので今回の記事ではNBAにおけるシュートの「確率」についてざっくりと紹介しておきたいと思います。
押さえておきたいポイント
シュートの"確率"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- 確率などスタッツはどう調べる?
- NBAのシュート確率は?
- エリア毎のシュート確率は?
- なぜ試投数が変化している?
- シュートの効率って何?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、シュートの"確率"について説明していきます。
確率について
本題に入る前に、まずはシュート確率の基本について確認しておきたいと思います。
「確率の集計方法」と「シュートエリア」を見ておきましょう。
集計方法
今回はNBAに最近興味を持ち始めた方やスタッツについてあまり詳しくない方にも楽しんでもらえるように、基本的な確率をざっくりと紹介していきます。
この記事で紹介するのはNBA.com/Statsの公式スタッツを元に集計したもので、各シーズンにおけるリーグ全体のシュート確率です。
NBA.com/Statsではより詳細なスタッツについても調べることが可能ですので、興味がある方はぜひ調べてみて下さい。
エリア
この記事では後ほど各エリア毎のシュート確率も紹介します。
それぞれのエリアを確認しておきましょう。
- 制限区域:半円が描かれているリング周辺のエリア
- ペイントエリア:ベースラインからフリースローラインにかけて色が塗られた長方形のエリア *1
- ミドルレンジ:ペイントエリアの外側から3Pラインの内側までのエリア
- コーナー3P:3Pレンジの中でも左右両隅のエリア
- その他の3P:コーナー以外の3Pエリア
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NBAのシュート確率
では本題のシュート確率について紹介していきます。
「基本的なシュート確率」と「エリア毎のシュート確率」に分けて確認していきましょう。
基本的なシュート確率
まずは「50-40-90」の対象にもなっている基本的な「フィールドゴール(FG)、3Pシュート(3P)、フリースロー(FT)」の確率を見ておきましょう。
- FG:46.1%(41.1 / 89.2)
- 3P:35.5%(11.4 / 32.0)
- FT:76.6%(17.7 / 23.1)
これらの基本的なシュート確率をざっくりと把握するだけでも「50-40-90」が凄い記録だと十分イメージ出来ます。
リーグの平均を大きく上回る確率を3つ同時に達成するわけですから、過去に8人しか達成していないということにも納得です。
ではもう少し踏み込んで各エリア毎のシュート確率も見ておきましょう。
エリア毎のシュート確率
ここでは先ほど紹介したエリアごとのシュート確率を詳しく見ていきます。
各エリアのシュート確率を折れ線グラフ、シュートの試投数と成功数を棒グラフで記しました。
制限区域
2018-19シーズンのシュート確率:62.9%(18.5 / 29.4)
ペイントエリア
2018-19シーズンのシュート確率:40.4%(5.8 / 14.3)
ミドルレンジ
2018-19シーズンのシュート確率:40.3%(5.4 / 13.5)
コーナー3P
2018-19シーズンのシュート確率:38.2%(2.8 / 7.3)
その他の3P
2018-19シーズンのシュート確率:34.9%(8.6 / 24.5)
こう見ると各エリア毎のシュート確率に大きな変化はありません。
ただ「コーナー3P」「その他の3P」の試投数が大幅に増えている一方、「ミドルレンジ」の試投数がかなり減っているのが目に留まります。
一体なぜでしょう?
折角ですのでこの機会にその理由を「シュートの確率と効率」から紐解いてみましょう。
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シュート確率と効率
バスケットボールには「シュートの効率」という考え方があります。
統計やスタッツ分析という世界は非常に奥深い沼ですので、今回はあくまでその入り口とも言える基本的な部分をざっくり紹介しておきたいと思います。
効率の良いシュートとは
一般的にバスケットボールでは「1回の攻撃で1点」を取ることが目標とされています。
つまり「期待値が1点」となるシュートを目指すということ。
期待値はそれぞれのシュート確率に「2Pの場合は×2」「3Pの場合は×3」で求めることができます。
この期待値がより高いシュートを選択することで、質の高い攻撃にしようというわけです。
各エリア毎に検証してみる
では実際に各エリアにおけるシュートの期待値を、先ほど紹介した確率に基づいて計算してみましょう。
- 制限区域: 0.629×2=1.25点
- ペイントエリア: 0.404×2=0.80点
- ミドルレンジ: 0.403×2=0.80点
- コーナー3P: 0.382×3=1.14点
- その他の3P: 0.349×3=1.04点
シュート確率だけであれば「ペイントエリア」「ミドルレンジ」は高いですが、期待値を見てみると3Pシュートの方が高いと分かります。
質の高い攻撃をする為に期待値の高いシュートを選択していけば、自ずと先ほどの様な試投数の変化に繋がっていくわけです。

もちろんシュート時の状況など様々な要素によって「ミドルレンジ」が有効なのは言うまでもありませんが、こういった効率を考えてみると近年NBAで3Pが増加していることにも十分納得できます。
ただこれはシュート効率を「確率」という側面のみで判断していますので、あくまでもその一面であるということにも注意が必要です。
こういった考え方もあるというのを何となく頭に入れておきましょう。
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まとめ
今回はNBAのシュート確率について紹介してきました。
ざっくりとではありましたが何となく理解していただけましたでしょうか?
基準となる確率を知ることでNBAをもっと楽しむきっかけになれば幸いです。
では改めてこの記事で紹介した各シュート確率をまとめておきます。
- 「制限区域」:62.9%(18.5 / 29.4)
- 「ペイントエリア」:40.4%(5.8 / 14.3)
- 「ミドルレンジ」:40.3%(5.4 / 13.5)
- 「コーナー3P」:38.2%(2.8 / 7.3)
- 「その他3P」:34.9%(8.6 / 24.5)
最後に
今回の記事と同様にNBAの基本的な「平均」についても紹介した記事がありますので、そちらも合わせてご覧下さい。
「用語で解るNBA」というカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。
(参考) NBA.com/Stats | NBA Stats
*1:制限区域を除く