2019-20シーズンのオフシーズンを改めて振り返ってみると、やはり今年も大物選手の移籍が目立ちました。
ゴールデンステートウォーリアーズからFAになったケビン・デュラントはブルックリンへと移籍することになりましたが、よく調べてみるとサイン&トレードでの移籍だそうです。
サイン&トレードという用語の意味はなんとなくイメージできるものの、なぜ単なるFA移籍ではなくサイン&トレードという形をとっているかは意外と分かりにくかったりします。
今回そんなNBAのサイン&トレードについて選手やチームの視点から詳しく見ていきましょう。
「用語で解るNBA」とは
このブログは知識0からNBAが解るということをテーマにしています。
「用語で解るNBA」では単に用語の意味を知るだけでなく、その用語を通じてNBAを理解していくことが目的です。
この記事では"サイン&トレード"という用語を詳細にではなくざっくり解説します。
その中でもテーマや図解を交えることで納得してNBAを理解できるようになっています。
押さえておきたいポイント
"サイン&トレード"を理解するために押さえておきたいポイントはざっくりとこんな感じです。
- "サイン&トレード"って何?
- どんな契約を結ぶの?
- 何故サイン&トレードをするの?
- どんなメリットがあるの?
ではこれらの疑問をしっかりと解決できるように、"サイン&トレード"について説明していきます。
サイン&トレード
そもそもサイン&トレードというものは一体どんなものなのでしょうか?
ここでは「サイン&トレードとは何か」「どんな契約内容なのか」「なぜ行われるのか」というポイントに注目して見ていきます。
サイン&トレードとは
サイン&トレードを一言で表すなら、言葉の通り「サインしてすぐトレードする」という契約の手法です。
もう少し踏み込んでいきましょう。
「そのチームからFAになった選手」と「トレード目的で契約して」すぐに「別のチームとトレード」をすること
まず第一に、チームがサイン&トレードできるのは「そのチームからFAになった選手」に限られます。*1
つまり直近のシーズンをそのチームで終了したFA選手が対象となりますので、他のチームからFAになった選手を獲ってきてサイン&トレードをすることはできません。
加えてこのサイン&トレードは「サイン」と「トレード」で1セットです。
サインアンドトレードを目的にFA選手と「サイン」はしたものの、なんらかの理由でその後「トレード」が成立しなかった場合には「サイン」も無効になります。
契約内容
サイン&トレードで契約を行う場合、そのFA選手は一体どんな契約を結ぶことができるのでしょうか。
「契約年数」「サラリー」「昇給率」に注目して確認していきましょう。
契約内容そのものは基本的にFAで移籍した場合と同じ。*3
ちなみにサイン&トレードができるのはレギュラーシーズンの開幕までです。
契約できる内容が同じなのに、なぜ単なるFA移籍ではなくサイン&トレードという形をとるのでしょうか?
次はサイン&トレードが一体なぜ行われるのかを確認していきましょう。
なぜサイン&トレードにするか
当然ながらサイン&トレードを選ぶということは、「前所属チーム」「移籍先チーム」「選手」に何らかのメリットが生じるからです。
サイン&トレードが行われる一例を、ざっくりとイメージするために4コマで見てみましょう。
あるチームからFAになる選手が移籍を希望しています。
とてもいい選手なのでチームとしては残留して欲しいですが、その交渉は上手くいきそうもありません。
前所属チームとしてはこれだけの選手を「タダで放出する」のは非常に惜しいと考えます。
一方で移籍を希望している先のチームにはそのFA選手と新たに契約するだけのキャップスペースがありません。困った。
そこでサイン&トレードの出番です。
まずはそのFA選手と前所属チームがトレード目的で一旦契約します。
そしてすぐに移籍を希望するチームとトレードを実施します。
移籍先チームは既存の選手やドラフト指名権などとトレードすることによってキャップスペースを生み出し、来てほしかった選手を獲得できました。
これはあくまで1つの例ですが、「前所属チーム」「移籍先チーム」「選手」それぞれにサイン&トレードにする理由があることが分かります。
次はその「メリット」や「デメリット」をそれぞれ3つの視点から見ることで、さらにサイン&トレードというものを紐解いていきましょう。
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- "サイン&トレード"とはサインしてすぐトレードすること
- トレード目的で契約してすぐに別のチームとトレードする
- そのチームからFAになった選手に限る
- 契約年数は最低3年〜最長4年
メリット・デメリット
先ほど確認したように、サイン&トレードをするのは「前所属チーム」「移籍先チーム」「選手」それぞれに何らかのメリットがあるからです。
ここでは「メリット(サイン&トレードを行う要因)」と逆に「デメリット(サイン&トレードが避けられる要因)」などをそれぞれの視点から見ていきます。
メリット
「メリット(サイン&トレードを行う要因)」には以下のようなものが挙げられます。
⑴ 前所属チーム
- ただFA選手を放出するだけではなく、トレードで見返りを得ることができる
⑵ 移籍先チーム
- そのFA選手と契約するだけのキャップスペースがない場合にも獲得できる
- 場合によってはロスターやチームサラリーの整理ができる
⑶ 選手
- 移籍したいチームに十分なキャップスペースがない場合にも移籍できる
- 移籍先のサラリーキャップに考慮してサラリーを抑えなくていい
一概に全てこの通りとは言えませんが、それぞれにこのようなメリットが生じる場合にはサイン&トレードという形がとられます。
デメリットや考慮すべき点
逆に「デメリット(サイン&トレードが避けられる要因)」や「考慮すべき点」を確認しておきましょう。
⑴ 前所属チーム
- タックスペイヤーMLE・ノンタックスペイヤーMLE・その他の3年契約に使用できない例外条項を用いた契約ではサイン&トレードできない
⑵ 移籍先チーム
- タックスペイヤーMLEを使用している場合はサイン&トレードはできない
- サイン&トレードで選手を獲得する場合には、チームは"ハードキャップ"となりサラリーキャップが"エプロン"を超えてはいけない
⑶ 選手
- その選手を獲得するためのトレードによって移籍先のチームが弱くなってしまう場合がある
- 基本的に直接FAする場合と比べてサラリーが多くなるわけではない
- スーパーマックス契約を結べない
様々な用語が出てきたので混乱してしまうかもしれません。
ですがここで理解しておくべきポイントは、「サイン&トレードを避ける要因」がそれだけ多いということです。
つまり「直接FAで獲得できる場合にわざわざサイン&トレードはしない」ということ。
逆にサイン&トレードが実際に行われた場合には、3つそれぞれの立場に相応のメリットや要因があったと言えます。
そのあたりをしっかりと理解してから移籍市場を見てみると、NBAをより楽しめるかもしれません。
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まとめ
今回は"サイン&トレード"について解説を行いました。
スター選手が絡む大型移籍で使われることも多い手法ですので、今後のNBAを楽しむ際にこの記事を役立てていただけると幸いです。
ここで改めて今回解説したポイントをまとめておさらいしましょう。
- "サイン&トレード"とはサインしてすぐトレードすること
- トレード目的で契約してすぐに別のチームとトレードする
- そのチームからFAになった選手に限る
- 契約年数は最低3年〜最長4年
- 三者それぞれにメリットがある場合に実施される
最後に
「用語で解るNBA」というカテゴリーでは他にもNBAの解説を投稿していますので是非覗いてみてください。
*1:他のチームとのオファーシートにサインしている「制限付きFA」はサイン&トレードできない
*2:5th Year 30% Max criteria(デリック・ローズルールの基準を満たしている場合でも最大サラリーキャップの25%まで)
*3:バード権やアリーバード権を持っていた選手でもサイン&トレードでは最長4年昇給率5%